前回の第1話でいきなりボロ泣きさせられた『HOPE ~期待ゼロの新入社員~』。
一週間は早いもので、もう第2話。

前回の記事
第1話(初回からボロ泣き!)



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今回のメインは何といっても採用されるかどうかの最終選考である「プレゼン」ですよね。

とかいいながら、その前段として、遠藤憲一課長が同級生社長にうちの商品を買ってくれと頼みに行く場面があって、何といっても嫌味な同級生に温水洋一というキャスティングが最高! いつも見た目からしてダメな人とか、人がよすぎてダメな人とか、とにかくとことんダメな人ばかりやってるからか、あの嫌味な役がとても強調されてます。あの役にいつも嫌味な役やってる人をキャスティングしてたら、あの独特のイヤ~な感じはあまり出てなかったかも。登場した瞬間にあんな対応するわけないと思いますもんね。それが何だあれはと。

そんな腹立つ奴に頭を下げる遠藤課長に主人公の中島裕翔は感動するわけですが、それはともかく、今回の要点はプレゼンです。

前回、高卒でコネ入社ということで軽蔑と嫉妬の目ばかりで見られていた主人公に「プレゼンパートナーになって」と言われ、それが「引き立て役として最適だから」と知ってしまった中島裕翔は山本美月からの誘いも同じ理由からだと断っちゃうんですね。彼女だけは違うと思っていたらやっぱりそうだった、と。

でも、主人公とヒロインが最初からくっついてしまったのでは面白くないし、見ているこちらがやきもきする展開はうまいですよね。
とはいえ、山本美月があの東大卒の嫌味野郎と組むことになるとは思わなかった。ここでも、やきもきやきもき!

で、肝腎のプレゼン本番。パートナーの人見くんは「俺は言葉の魔術師だから」と豪語して、中島裕翔には資料作りだけをさせるんですね。

その人見くんが案の定、本番の独特の空気に呑まれてしまって、何も言えなくなってしまう。

ここで私が思ったのは、「自信がないことこそが力」ということでした。

かつて専門学校の卒業製作で、撮影が終わり効果音づくりをする段になって、うちの班はやたら作らないといけない音が多く、俺にできるだろうか、大丈夫だろうか……と不安でいっぱいでした。

でも、そういう「畏れ」の気持ちがあったほうがうまく行くもんだとそのとき知りました。「音くらい何とかなるだろ」と豪語していた人は結局なにもできず、代わりに私が作った音をちょっとだけ周波数を変えたり加工したりして貸してあげました。

よく人は「自信をもて」といいますが、自信過剰はよくありません。仮に「俺にはできる」と思っていても、本当に大丈夫だろうか、という畏れの気持ちがなかったら何事もなしえません。たとえばこのブログだって、私はいつも「最後まで書ききれるだろうか」と思いながら書いています。すると書けるんですね。決して「絶対書ける!」と思ってはいけない。

今日は新しい職場でのWEBクリエイターとしての初日でしたが、最初の仕事がある企業の公式ホームページに載せるクイズを作成する、というもので、「クイズなら得意だから楽勝だろう」と思ってたら痛い目に遭いました。何度もダメ出しを食らってやっとOKが出ました。畏れの気持ちがないとああなってしまうんです。

だから人見くんがプレゼンを続けられなくなって、代わりに中島裕翔が話し始めようとしたとき、前日、「プレゼンで受かるとは思ってないし」と言って人見くんに怒られたりしたけど、やっぱりあれぐらい畏れの気持ちのある中島裕翔のほうがいざとなればうまく話ができると思ったんですよね。

しかし、甘かった!

中島裕翔は自分が作った資料を丸暗記していて、それを棒読みするだけ。そうか、そうだよな。何だかんだいってもただのコネ入社だもんな。私の予想は完全に外れました。で、どうなったか!?

もう落ちたな、と遠藤課長も匙を投げようとしたとき、人見くんが復活するんですね。この展開には驚きました。中島裕翔の下手な話しぶりを見ていて復活。「岡目八目だ!」と。

中島裕翔はプロの囲碁棋士を目指してましたからそういう言葉が出てくるんですね。なるほど、岡目八目をここでこういうふうに使う! 素晴らしい。

で、そのあと風間杜夫専務から中島裕翔に「パートナーに何かを売るとしたら何を売る?」と聞かれて、その質問をうまく切り抜けたために、二人とも合格。あと、山本美月と瀬戸康史も。あの東大卒の嫌味野郎は落選。当然でしょう。

しかしそのへんの展開は何となくうまく行きすぎというか、「何を売る?」じゃなく他の質問だったらダメだったわけで、ちょっとご都合主義かな、と。

それより、この第2話の肝は、「自信」ということですね。

中島裕翔はもともとまったく自信がなかった。人見くんは自信過剰だった。
それが、人見くんは自信過剰なために自信を喪失し、彼を助けようと中島裕翔が代わりに話し始め、それを見た人見くんが岡目八目で自信を取り戻す。
中島裕翔は「自分なんか…」みたいなネガティブ精神の持ち主ですが、結構主張するところは主張する。遠藤課長にも「あの社長との取引はやめたほうが」と進言したり、前回とは見違えるほど自己主張するようになっていました。

ただの資料作成者にすぎないのにしゃしゃり出てくる思い切りの良さが、結果的にもともと能力のある人見くんを復活させる。

もちつもたれつ。自信喪失者と自信過剰者がお互いを補完し合って二人とも合格。いい話です。

それにしても中島裕翔の笑顔がいいですね。



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いつもだいたいこういう深刻な顔が多いからか、遠藤課長に元気よく挨拶する場面とか、プレゼンでも最初の組がぜんぜんダメで「よっしゃよっしゃ」みたいな感じでへらへら笑う場面など、いい芝居してる。あそこの笑みはあれ以上大きくなると嫌味になるし、小さいと視聴者の目に映らない。微妙だけどいい芝居です。神は細部に宿る。

あのかわいい顔と芝居がなければ、山内圭哉先輩の「受かってほしい」という祈るような気持ちがこちらに伝わってこないし、それ以前に見るのやめちゃいますよ。

ただ、遠藤憲一さんの「鬼」の面が今回はなかったのが残念ですが、来週からはインターンではなく正式な部下になるわけだから、また鬼の面が出てくるのでしょう。期待は高まるばかりです。

続き
第3話(「善と善」の対立がドラマを豊かにする)
第4話(勝負に出たが勝者はいない)
第5話(瀬戸康史の切ないウソ)
第6話(「資格」をめぐる物語だった!)
第7話(「しっかりやれよ」いこめられた様々な想い)
第8話(結局「善と悪」の対立で終わるのか)
最終話(この物わかりのよさを断固拒否する!)


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