2020年12月29日

さて、昨日で仕事納めとなり、待望の6連休が始まりました。

というわけで、コロナで新時代が始まった激動の2020年のテレビドラマとテレビアニメのベスト5を選んでみました。ほんとは去年みたいに10本選びたかったんですが、印象に残ったのが少なかったので。



①彼女、お借りします
⑤半沢直樹

 (過去に感想を書いてあるものはリンクを貼ってますので興味のある方はどうぞ。ただし、『コタキ兄弟と四苦八苦』は第8話についてのみ、『M 愛すべき人がいて』は第1話から第3話についてのみです)

第1位『彼女、お借りします』
d16756-2151-164788-0 (2)

今年は実写ドラマに「これ!」というのがなかったというのが一番大きいですね。コロナの影響で放送された本数が例年より少なかったのもあるでしょうが、そのぶん過去作品も放送されていたのにその中にも印象に残るものがほとんどなかった。ま、私の選球眼に一番の問題があるような気がしますが。

だからベストワンはアニメ『彼女、お借りします』となりました。

これなんて実写でやろうと思えばできないことはない。別にファンタジーとか時代物とか製作費がかかるわけでもない。現代が舞台でレンタル彼女を題材にしたラブストーリーなのだから、広瀬アリスか池田エライザ、あるいは堀田真由あたりを主演に据えれば充分実写化は可能のような気がします。

なぜこの企画がアニメでないといけないのか。なぜ実写ではないのか。という点についてはいまだによくわからないし、考えなくてはいけない課題のような気がするものの、でも内容の面白さは群を抜いていましたね。

第2期もあるらしく、待ち遠しい。


第2位『有村架純の撮休』第3話「人間ドック」
EUsIchuUEAElf4X.jfif (1)

連続ドラマの1回だけを取り上げるのは反則かもしれませんが、でもこれは1話完結ものですしね。詳しい感想はリンク先に書いてますので、そちらをどうぞ。

「仮面」というテーマの追究が素晴らしかった。女優というだけで「仮面」をかぶっているのに、さらに化粧で二重の仮面をする。元カレの「仮面」を剥ぐために。


第3位『コタキ兄弟と四苦八苦』
9a173f83e46b0bb1d8c6c58ec88459d6

これもある意味1話完結ものでしたが、連続ものとしての面白さもありました。

とにかくニート兄弟を「ダメな人たち」とは少しも捉えていないのが素晴らしかった。去年の『俺の話は長い』や今年の『35歳の少女』とは大違いですね。「ニートはいけない」「働かなければいけない」という社会通念をフィクションで語られても。そういう「常識」はワイドショーのコメンテーターにでも任せておけばよろしいかと。

芳根京子が好きになったきっかけの作品でもありました。ありがとうございます。


第4位『M 愛すべき人がいて』
4d66e655c4675d83e3896fd22e96db76_640px

往年の大映ドラマ『スチュワーデス物語』を思わせるケレン味たっぷりの作品でした。

「俺の作った虹を渡れ!」
「あいつを選んだのは俺じゃない。俺を選んだのも俺じゃない。あいつを選んだのは、神様だ」

なんていう臭すぎるセリフから、

「誰かを育てるときに大事なのは、自分も育とうとすることだ」
「未来は見えません。でも未来は作れます」

という普通にいいセリフまで、セリフドラマの真骨頂。こういうのをくだらないと一蹴してはいけないと強く思う。


第5位『半沢直樹』第2シーズン
hanzawa2

これはちょっと7年前の第1シーズンに比べると怒鳴り合いが多すぎて辟易しました。「施されたら施し返す。恩返しです」とか「仕事は感謝と恩返しだ」などのセリフは普通に笑いましたが、香川照之の「何とかDEATH!」というセリフは悪ふざけが過ぎて鼻白んでしまいました。ラストシーンも怒鳴り合いの嵐でもうビデオを止めようかと思ったほど。

とはいえ、意外な展開の連続に舌鼓を打ったのも事実。というわけで滑り込ませました。

10月期では『姉ちゃんの恋人』『共演NG』が堂々のランクイン確実か⁉ と思わせるほどの滑り出しだったのに失速してしまったのは残念でした。

始まりこそ低調だった『35歳の少女』は第8話でとんでもない展開を見せてくれ、どう着地するのかと期待したら最低最悪の最終回でげんなりさせられました。


コロナの第3波が猛威をふるい、しかもイギリスで確認された変異種に感染した人も東京で確認されるなど(なぜ帰国したときにすぐPCR検査しなかったのか!)今後どうなるかわからない状態です。再度緊急事態宣言が発出されたらドラマ製作はまた中断を迫られる。

それ自体はしょうがないとしても、もしそうなったら、まずは『家政婦のミタ』を再放送してほしいですね。あとクドカンの『マンハッタン・ラブストーリー』とか。山田太一さんや向田邦子さんの作品とか。

今年は往年の名作と言われるものも再放送されたけど、どれもつまらなかった。


2019テレビドラマ・アニメ ベストテン!
2018テレビドラマ ベスト5!
2020書籍ベストテン!
2020映画旧作ベストテン!
2020劇場映画ベストテン!






  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年12月27日

早いもので2020年代最初の年ももう終わり。今年は人生で一番激動の年だったような気がします。震災にサリンもあった95年も激動だったけど、あれは日本だけだし。しかも神戸以外の人たち(特に東京の人)はかなり早く震災のことは忘れてたし。今年は全世界的な出来事ですからね。しかも100年に一度という。

というわけで、今年も書籍のベストテンを選んでみました。10冊(マンガはひとつのシリーズを1冊とカウント)に絞り切れなかったので正確にはベスト11ですけど。

胸躍らせながら読んだマンガ、深く考えさせられた本、著者の心情に泣けてしまった本。。。

一冊以外はすべて読んだときに感想を書いており、リンクを貼ってますので、興味のある方はどうぞ。


青い秋
中森 明夫
光文社
2019-10-25


アイドルについて書かれた回想記でもあり、同時に日本の伝統である「私小説」(「わたくししょうせつ」と読みます)の傑作でもあります。

「私は成熟を果たせなかった」というフレーズは私自身にも当てはまります。『レイジング・ブル』の主人公のように、後悔ばかりの日々。生きるとは、歳を重ねるとは後悔の経験を積むことと同義なのかもしれません。


民衆暴力(藤野裕子)


これは今年読んだ歴史本では傑出していましたね。古市君の『絶対に挫折しない日本史』を最近読んだんですが、固有名詞や年号など暗記せねばならないと学校で言われるものをできるだけ使わずにわかりやすく日本史を解説していて好感をもちましたが、この『民衆暴力』はわかりやすいばかりでなく、いまにも噴火しそうなマグマのように大量のエネルギーと熱をもっており、圧巻でした。


この町ではひとり(山本さほ)


今年は山本さほというマンガ家を知った年でした。目下の代表作とされる『岡崎に捧ぐ』も読みましたが私はこちらのほうが好みかな。それに神戸が舞台ですしね。だいぶ誇張が入ってると思いますが。


誰も気づかなかった(誰も気づかなかった)
誰も気づかなかった
長田 弘
みすず書房
2020-05-07

最も好きな詩人、長田弘さんの最新詩集が出たのは事件でした。亡くなってもう5年たちますからね。コロナで会社が二班体制になり、一日おきに休日だった5月、緊急事態宣言下でほとんど街に人がいないときにサイゼリヤで読みました。

心に染み入る言葉の数々。オサダ節炸裂の一冊。長田弘を知らない人にぜひ手に取っていただきたい。


深夜のダメ恋図鑑(尾崎衣良)


今年は尾崎衣良というマンガ家を知った年でもありました。中野信子さんの『キレる!』で紹介されていて読んでみたんですが、最初はいかにも少女マンガ風の絵が好きになれず途中でやめようかと思ったほどでしたが(だって私ゃあの名作と言われる『ポーの一族』を最初の10ページほどで挫折したままなのです)読み進めるうちに男社会に生きる女たちの怒りが実に痛快というか。私は男ですが、このマンガで描かれるダメンズほどにはダメじゃないし。

でも、ダメな男にも少しはかわいさがあったりと、著者が一方的に男を悪者扱いしていないのが素晴らしい。やはり「善と善」の対立が必要なのですね。


⑥猫町(萩原朔太郎)
猫町 他十七篇 (岩波文庫)
萩原 朔太郎
岩波書店
1995-05-16


これ、前から読みたい読みたいと思いながらなかなか読む機会がなかったんですが、もっと早く読むべきだったと思わされました。こういう幻想譚は好み中の好み。


変半身(かわりみ) (単行本)
村田沙耶香
筑摩書房
2019-11-28


村田沙耶香といえば、やはりおととしの『地球星人』が最高傑作だと思いますが、この『変半身(かわりみ)』も著者特有の「宗教」を隠れた主題にした一作でとても面白かった。ジャンルは『猫町』と同じ幻想譚なのでしょうが、テーマの追究に独自のものがあり、そこらへんで好みが分かれるのでしょうね。私はどちらも好きだけど。

宗教の奥にある「真理」とは何なのか。村田沙耶香ならそこへ到達できるのではないか。これからのさらなる飛躍に大期待!


この国の不寛容の果てに 相模原事件と私たちの時代(雨宮処凛)

私の中の「内なる植松聖」を考えるのに最適な一冊でした。しかもあの事件だけを考察するのではなく、もっと視野を広く、グローバルな視点で書かれているのが素晴らしい。


積読こそが完全な読書術である(永田希)
積読こそが完全な読書術である
永田 希
イースト・プレス
2020-04-17


積読とは過去の自分と未来の自分の邂逅であり、それはつまるところ「歴史」である。


壇蜜日記(壇蜜)
壇蜜日記 (文春文庫)
壇蜜
文藝春秋
2014-10-10


前からこの人はいいセンスをしていると思っていましたが、実際に読んでみて「やはり!」と得心しました。表現の仕方がとてもユニーク。2巻を買いました。


番号は謎(佐藤健太郎)
番号は謎(新潮新書)
佐藤健太郎
新潮社
2020-08-19


これはいいかな、と一度は思ったけれど、やはり捨てきれなかった。番号・数字にまつわるトリビアが満載。『5時に夢中!』エンタメ番付で中瀬親方がこういうトリビア本を横綱に選んでいたのがとても意外というか印象的。

上記11冊のうち、何と3冊もがエンタメ番付で知った本でした。中瀬親方、どうもありがとう!

『行動経済学の使い方』『ペルソナ 脳に潜む闇』『聖なるズー』あたりも印象深かったです。

ワーストを選ぶなら、職場の同僚さんが貸してくれた『流浪の月』(凪良ゆう)を。理由が知りたければリンク先の記事を読んでください。これが本屋大賞? 

この記事は益田ミリさんの『今日の人生2』を読んでから書こうと思ってたんですが、図書館から借りてる本がそれこそ積読状態で、今年中には読めそうにありませので。無念。


関連記事
2018書籍ベストテン!
2019書籍ベストテン!
2020劇場映画ベストテン!
2020映画旧作ベストテン!
2020テレビドラマ・アニメ ベスト5!

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年12月25日

2月に劇場版の公開が決まったらしいバカリズム脚本による『殺意の道程』が面白かった。

バカリズムといえば、『架空OL日記』がとても人気が高いんですってね。職場でも大好きな人がいて「あの『あるある感』がたまらない」と聞いたんですが、私にはさっぱりわからない。

やはりテレビドラマや映画などフィクションには「ないない」を求めたい。日常的によくあることではなく、死ぬまで自分の身には起こりえないであろうことを描いてもらいたいと思っているので「あるある」が面白いという感覚が少しもわからない。

でも『殺意の道程』は復讐ものですからね。最初から「ないない」です。(以下ネタバレあります。ご注意を!)


satsui_sub01

井浦新のお父さんが自殺し、鶴見辰吾が自殺へ追いやったからと、従弟(従兄?)のバカリズムと一緒に復讐することになる。

んですが、バカリズムがインタビューで言っていましたが、「普通のサスペンスドラマでは省略されるところを描いて見ると面白いのではと思った」ということで、まず復讐のプロジェクト名を決めよう、それらしいのは露見する恐れがあるから「苺フェア」に決めたりとか、第2話の「買い出し」では、ロープやバールや刃物を買うんですが、「これじゃまるで俺たちこれから人を殺しますって言ってるみたいじゃない?」となって、ぜんぜん関係ないものを買う。で、「何かエロ本買うときにマンガ雑誌ではさんでレジ持ってく見たいな感じだね」と言って盛り上がったり、確かに普通のサスペンスドラマでは省略されるところをあえて描く面白さはあった。

第5話の「占い」で、「機種変も無理なのかぁ!」と天を仰ぐ井浦新の姿に爆笑したり、ね。

が、やはりこれは『架空OL日記』と同じで「あるある」を描いているのとあまり変わらない感じがしたんですよね。復讐なんてほとんどの人生には「ないない」なことなのに、「復讐あるある」が描かれているというか、「復讐ってこんな感じだよね」とまるで復讐を日常的に経験しているかのように扱う軽さがはっきり言っていやでした。


cast-03

堀田真由演じる、このはちゃんというキャバ嬢にしても、もともとミステリ好きのうえに店に警察関係者がよく来るから殺人や捜査に関して異常に詳しいというのが主役の二人を救うのですが、このあたりは「あるある」や「ないない」とは関係ないものの、逆にこんな都合のいい人物はいないだろう! と突っ込んでしまいました。それに堀田真由って『ブラック校則』で演じた嫌味な女の子のほうが似合ってるというか、あっちのほうが素に近いのでは、と思っているだけに、最後まで二人に親身というのは少し残念だった。彼女の裏切りとかがあるとより面白かったのではないか。

そう、冒頭に記したように、私はこのドラマを最終的には「面白い」と思ったのである。

それはやっぱり最終回ですよね。いや、その手前の第6話。



photo01

鶴見辰吾を自殺に見せかけて殺す計画を立てる。そこで井浦新はふと思う。親父も同じように自殺に見せかけて殺されたのではないか、と。

何だかんだの末に、鶴見辰吾は本当に井浦新のお父さんを自殺に見せかけて殺しており、彼もまた同じ手口で殺されかかるけれどもすべては計画のうち。動かぬ証拠を手に入れて鶴見辰吾を刑務所へぶち込むことに成功する。

どこまでも軽い男二人が「俺たちは近日中に人を殺す」といくら言われても信じられなかったけれど、結局、殺しはしないが復讐は果たすというなかなかの展開に舌鼓を打ったのでありました。

結局のところ、「復讐」という「ないない」な題材をバカリズムという「紋切型をうっちゃりすぎるほどうっちゃる作家」が扱うと、軽く扱いはするけど、どうしても最後の最後では軽い扱いはできないわけで、ちょうどいい塩梅になるのかな、と思いました。

第4話の「張り込み」では、張り込み中にうっかり鶴見慎吾とぶつかってしまったバカリズムが本気で罵るシーンがありました。やっぱりこの二人は本気で復讐するつもりなのだ、とゾクゾクしてしまうんですよね。そして見事復讐を完遂する。

全話を振り返ってみると、「あるある」と「ないない」がいいバランスで組み合わさっているんじゃないでしょうか。

もう物語は完結しているのだから、劇場版は続編とかじゃなくて再編集したものになるんでしょうが、見に行こうかなと思っています。

ちなみに、私がこの世で一番好きな復讐映画は『トカレフ』です。あいつを殺すことができればこの身が破滅してもかまわない、という熱い血潮が感じられるものが好き。そういうのはバカリズムは絶対作らないでしょうが。


トカレフ [DVD]
阪本順治
パイオニアLDC
2000-10-25





  • このエントリーをはてなブックマークに追加