聳え立つ地平線

ありえないものを発見すること、それを写し撮ること、そしてきちんと見せること。

バラエティー

上沼恵美子への暴言問題について思うこと

私ははっきり言って上沼恵美子という人が好きではありません。むしろ嫌いと言ってもいい。

M-1

でも、今回のM-1グランプリの直後にとろサーモン久保田とスーパーマラドーナ武智の二人が「酔ってるのを理由に言いますが」と前置きしたうえで、

「おまえ」
「おばはん」
「クソ」
「更年期障害」

とNGワードを4つも出してしまったと聞き、動画も見ましたが、あちゃー、言ってはいけないことを言ってしまったな、と。

世間の反応も同じようなものだろうと高をくくっていたら、あろうことか、久保田と武智を擁護するばかりか上沼を批判する人も現れたりで、こりゃ黙っちゃいられないと筆を執りました。


酒を言い訳にするな
私はM-1そのものを見ていないので伝聞情報になりますが、上沼の採点はかなり偏ったものだったらしい。だから「人の人生がかかってんだよ」「1点で人生変わるんだよ」という二人の言い分は痛いほどわかる。でもね、それを「酔ってるのを理由に言いますが」などと前置きしてから言うのでは完全にアウトです。

もし彼らがしらふで面と向かって「ちゃんと採点しろ!」と言ったのなら別にいいと思う。その後、彼らがどうなるかはわからないけど、そこまで捨て身の作戦に出たのなら私は彼らを擁護していたでしょう。

しかし、酔っているからと好き放題言ってそれをネットに上げるというのは愚の骨頂。最も卑劣なやり方じゃないですか。

酒の上の席なんだから許してあげたら、という意見も目にしましたが、ダメでしょう。専門学校時代のT先生のことが思い出されます。


小津安二郎と溝口健二
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T先生は大映の人で、溝口の『雨月物語』などに助監督として付いたことがあり、監督として一本立ちもしました。しかし、溝口をはじめ大映の巨匠たちが列席した酒の席で(なぜか松竹の小津もいたとか)酔っぱらった挙げ句、あろうことか、料亭の縁側から放尿してしまったそうです。

T先生はそれから劇場映画を撮る機会を完全に失ったそうです。小津や溝口の顔に放尿したんじゃないですよ。縁側から外に向けてやっただけ。それでも一生干された。
「君らも酒の席では充分注意するんだぞ」と言うT先生の顔は紅潮していて「あれさえなければ……」という無念さが滲み出ていました。

だから、上沼に向かって「おまえ」だの「おばはん」だのと言ってしまった二人は干されて当然だと思います。


女だから?
今回の件であまり語られていないように思うのは、

上沼恵美子が女だからあれだけ威勢のいいことが言えたんじゃないの?

ということです。はたしてダウンタウン松本やオール巨人が偏った採点をしていたとして、彼らは同じように「おまえ」「クソ」などと言えたでしょうか?

ちょうどいま問題になっている、医学部の採点で女子受験生だけ一律減点してたというのと通底していると思う。差別以外の何物でもない。#MeToo運動元年の最後にふさわしい事件のようにも思えます。


2回売れてこそ本物
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上沼を審査員に招聘した松本人志が去年『ワイドナショー』でこんなことを言っていました。ベッキーがゲストのときだったはずですが、

「俺は昔、大阪の芸人は2回売れなアカンから損やって愚痴いうってたやん? 大阪で売れてさらに東京でも売れんとアカン。でも最近はすべての芸能人が2回売れなアカンのちゃうかって思うんですよ。ベッキーのように1回売れたけどスキャンダルで干される。でもこうやってセカンドチャンスをもらってテレビに出てる。これから2回目のブレイクを目指せばええんちゃう?」

久保田と武智の二人にも同じことが言えると思います。いまは謹慎みたいな感じで干されるのも致し方ない。でもセカンドチャンスを与えないというのはいかがなものかと思う。T先生のような人をもう出してほしくありません。

与えられたセカンドチャンスをものにできるかどうか、それは彼ら次第。




「二郎」と「次郎」の違いについて

昨日の『この差ってなんですか?』で、なかなか興味深い話を見ました。

「二郎」と「次郎」の違いは何か。

うーん、、、どちらも二番目に生まれた男の子だと思ってましたが……違うの?

まず、「太郎」「次郎」「二郎」「三郎」というのはすべて正式な名前ではなく、「通称」であるということ。昔は幼名から大人になるまで何度も名前を変えていました。

平安中期に武士が登場してからのことらしく、例えば源頼朝は三番目、弟の義経は九番目の男の子だったから、それぞれ「三郎」「九郎」という幼名だったそうです。確かに「九郎義経」っていいますもんね。

さて、「二郎」と「次郎」の違いですが……

どうも、「次郎」のほうが二番目に生まれた男の子なんだそうです。一番目は跡取りだからたくましく育ってほしいという理由で「太郎」とつけ、その次の跡目を担うから「次郎」だと。そして「三郎」「四郎」「五郎」……と続いていく。

じゃ、「二郎」は?

実は、十一番目が「一郎」、十二番目が「二郎」なんだそうです。

なぜか。「十」という字は切腹のとき十文字に腹を切るので縁起が悪いということで使いたくなかった。で、「十」を省略して「一郎」「二郎」と名付けたんだとか。

じゃあ、十三番目はどうなるんだ、という疑問が湧きますが、その場合は「又三郎」「与三郎」となづけたそうです。なるほど、風の又三郎や切られ与三郎は十三番目の男の子だったのか。

ちなみに「七」という数字も縁起が悪かったそうです。「十」と「七」って似てますよね。十文字に切った腹から内臓がはみ出ている図に見えるから「七郎」と名付けるのは嫌われた。

その場合は、七を三と四に分けて「三四郎」にしたそうです。なるほど!


蛇足
ラーメン二郎というラーメンチェーン店がありますが、あれは創業時に「ラーメン太郎」というヒット商品があったため、その跡目を狙うという意味で「ラーメン次郎」として出発したらしいんですね。「太郎」の次だから「次郎」というのはだから理に適っているわけです。
それが「ラーメン二郎」になった理由は移転する際にペンキ屋が間違えて「二郎」と書いてしまったと。ま、ウィキペディアに書いてあることなんでどこまでほんとかわかりませんがね。少なくとも太郎から数えて十二番目という意味でないことだけは確かなようです。


梅沢富美男の未婚ハラスメントとハゲハラについて思うこと

歯に衣着せぬ男、梅沢富美男が『梅ズバッ』で未婚ハラスメントをしたと昨日ツイッターで見ました。


umezawatomio

番組そのものは見ていません。ユーチューブにあるかなと思ったけれどなかった。でもまぁだいたいわかりますよ。ゲストの吉田羊と楠田枝里子に「何で結婚しないんだ」と言ったとかで、この人がどういう言い方をしたかくらいは見なくてもわかる。

あらかじめ断っておくと、私はこのオッサン好きですよ。もしかすると、クリント・イーストウッドが2年前の大統領選挙のとき「みんなポリティカリー・コレクトネスにはうんざりしているんだ。だから俺はトランプに投票する」と言ったのと同じかもしれません。
私はトランプは嫌いでしょうがないけど、梅沢富美男は大好き。言いたい放題だけど嫌味がない。でも、嫌味があるかないかという感じ方は人によって違うのでしょう。

で、当のツイート主の主張は、「なぜ結婚しないんだ」という未婚ハラスメントが昔から横行していて、もういいかげんやめてほしい、というものでした。

わからないではない。私もこの歳で未婚だから「なぜ」とか「同い歳の人はみんな結婚して子どももいる」とか言われるともちろんいい気はしません。でも、それをハラスメントだとかこの世からそういう発言をなくすべきだとか、そんなこと思ったことないです。

人間は言葉でコミュニケーションを取る生き物で、言葉が刃物になることがある。誰のどんな言葉だって刃物になりうる。だってその人が何を嫌がるかはその人自身にしかわからないから。

繰り返しますが、私自身は「なぜ結婚してないの」と言われるのはいやです。いやだけれどハラスメントだと告発するつもりはない。私が相手を知らず知らず傷つけていることも多々あるだろうし。もし結婚したら未婚の人に「なぜ結婚しないの」って言っちゃうと思うし。

そう、人間は刃物となりうる言葉でコミュニケーションを取るのだから、常に心を傷つけたり傷つけられたりという状況にある。

どうも最近の人たちは傷つきやすくなっていませんかね? ツイッターでも「自分の好きな映画をけなされるのがすごくいや」と言ってる人たちがいます。好きな映画を否定されると自分が否定されたように感じるんですって。そんなの単に感じすぎなだけしょう。

「なぜ結婚しないの」はハラスメントだと思います。だけど、すべての言葉がハラスメントになる可能性がある以上、ハラスメントを完全追放するのは不可能です。



hage

私は禿げてますけど、自分からハゲを笑いのネタにするから周りは逆に安心するそうです。それはおそらく、この人には少々のことならハゲハラにはならない、というサインになるからでしょう。それぐらいハラスメントということに対して言われる側はもちろん、言う側もセンシティブになっている。

そりゃ私だって、こちらが笑いのネタにしているからといって度を越した言葉や笑いにはいやな気がしますけど「人間はそういうもの」と思ってやり過ごしています。やり過ごせばいいだけの話じゃないの? 

すべてのハラスメントをやり過ごすべきだと言ってるんじゃないですよ。やり過ごせないほどひどいなら、「おっぱいもませて」の事務次官や「このハゲーーーー!」の議員の例みたいに録音して訴えて社会的制裁を受けさせるべきでしょう。でも「何で結婚しないの」ぐらいの言葉がそれに該当するとは思えない。

どうもいまの世の中は、「どこまでもクリーンでなければならない」という強迫観念が蔓延していると思う。少しでも心地よくないものはこの世から追放しましょうと。

抗菌グッズの売り上げを表す折れ線グラフと、アレルギー患者の増減を表す折れ線グラフは完全に一致するそうです。

過ぎたるはなお及ばざるがごとし。きれいすぎるのも問題なのでしょう。

いまの日本人は「自分は被害者になる可能性がある」ということをデフォルトにしています。それでは片手落ちで、「被害者になる可能性もあるし同時に加害者になる可能性もある」というのをデフォルトにしないといけないと思います。


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