聳え立つ地平線

ありえないものを発見すること、それを写し撮ること、そしてきちんと見せること。

文化・芸術

『スターウォーズ』が好きになれない理由(宗教と体内時計)

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いま最新作が公開中の『スターウォーズ』シリーズ。

私は少しも好きになれないので最初の三部作しか見てないんですが(実はエピソード1と去年の7も見に行ったんですけど最初から乗れずまったく覚えていません)なぜ好きになれないのかを考えてみました。

これは「SF」じゃないんですよね。

SFとはつまり「sience fiction」。よく「空想科学小説」とかって訳されますけど、この語の要諦は「科学」にあると思います。


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最初の三部作の主人公ルーク・スカイウォーカーが生まれ育った星は、ご覧のように太陽が二つあります。

地球にはもちろん太陽がひとつしかありません。なぜジョージ・ルーカスが二つにしたのかは、おそらく、地球とは違う別の惑星であることを示したかったとか、太陽が二つあるほうが画的に面白いだろうとか、単純な理由なのでしょう。それが悪いとは少しも思いません。

が、どんな理由であれ、「太陽が二つある惑星」と設定した以上は、そこに生まれた知的生命体は地球人とは違うということを科学的に探究すべきだと思うんです。





神様

地球では一神教が幅を利かせています。それはおそらく太陽がひとつしかないからでしょう。だから太陽が二つある世界では「二神教」が幅を利かせている可能性が高い。

地球には多神教もありますが、この「多」というのがいくつ以上を指すのか判然としません。しかしながら、数学の世界では、三角形以上はすべて「多角形」です。

であるならば、「一神教」と「多神教」の間にある唯一の宗教が「二神教」になると思われます。

いったい二神教とはどんな宗教なのか、太陽がひとつしかない世界で生きる私たちにはまったくわかりませんが、『スターウォーズ』ではそれを探った形跡がまったくないんですね。

もうひとつ問題があります。「体内時計」です。

太陽が二つあるということは、それだけで生命体にものすごい影響を与えると思われます。

地球人の体内時計は25時間。毎朝日光を浴びるたびにリセットされるので、地球の自転周期24時間に合わせて生きていますが、太陽が二つあると厄介ですよね。朝起きてひとつ目の太陽でリセットされて、さらにまた数時間後にリセット・・・寝ようにも寝られないのでは?

太陽が二つあるというだけで自然界はかなり荒れ果てた感じになると思われます。





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ルークの星に衛星が何個あったかは憶えていません。それを示す映像があったかどうかもわかりませんが、仮に衛星が二つあったと仮定すると、これまた厄介です。

地球人は月の影響をかなり受けています。だから、「肝」「腎」「腕」「脚」など、体の部位を表す漢字には「月」が入っている。

海もそうですよね。月の引力によって干潮になったり満潮になったりしますが、月が二つ以上あったら、海は大荒れでしょう。航海なんかできないんじゃないでしょうか。

それ以上に、海の中の生物も落ち着いて棲息することができないような気がします。

ということは。

太陽が二つ、月が二つある惑星では、生命がまともに生きていくことができない。それはつまり、「地球のように水と酸素がふんだんにあっても、太陽がひとつ・月もひとつの惑星でないと生命は生まれない」ということなのかもしれません。

ただ、これはあくまでも、太陽がひとつ月もひとつの惑星に住む私たちだから「そんな星ではまともに生きられない」と思うだけであって、その星に住む宇宙人にとってみればごく普通の生活を営んでいるだけかもしれません。

でも、その「ごく普通の生活」っていったいどんなもの?

わかりません。

というか、それを探求するのが「SF」だと思うんですよ。

『スターウォーズ』では、「わからないなりにこう考えてみた」ということをまったく示してくれません。最初から何も考えていないのです。だから好きになれないのです。



「レディ・ファースト」の真実

ladyfirst

レディ・ファーストって「まず女性から」という言葉どおりの意味ではないんですって。

えーっ、ウッソーーーー!

というか、仮に言葉どおりの意味だとしても、「まず女性が準備して男性を迎える」「まず女性が先に食事を済ませて退出し、男性の会話に加わらない」という極めて男尊女卑的な言葉だったらしいんです。へぇ~~~、ってな感じですね。

女性が取るべき行動を表す言葉だったのに対し、いまは画像のように男性が女性に対してとるべき行動のような意味になっています。

ところが!!

そのさらに前、大元はぜんぜん違う意味だったらしいんですね。

これも、こないだ読んだ佐藤優さんの『学生を戦地に送るには』で知ったことなんですが・・・(あの本は講演を採録したものなので脱線が多いんです)



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レディとはladyで、淑女と訳しますが、もともとはlord、つまり貴族の夫人という意味でした(『ロード・オブ・ザ・リング』の「ロード」ですね。支配者とか神、イエス・キリストという意味もあるとか)。公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵と5つの爵位があり、それぞれを表す言葉もありますが、妻になるとすべてladyなんだとか。

レディ・ファーストのレディって、実はこのlordのことなんだそうです。lordの女性形がladyなので。

厳格な階級社会であるイギリスでは、下流階級のことをジェントリ(gentry)といいます。

このジェントリよりもロードを優先せよ。つまりは、階級の上の者が先に決まってるだろ、という、きわめてイギリス的というか、階級社会イギリスを象徴する言葉なんだとか。

そういえば、もう15年ぐらい前、ベッカム・フィーバーが起こったとき、こんなことを言う評論家がいました。

「彼がいかに大金を稼ぐスターであっても、喋ったとたん労働者階級であることがわかる」

すごく嫌な物言いだなと思ったんですが、本国イギリスではもっとすごいんでしょうね。おそらくベッカムのような下流階級の人間を蔑む貴族階級の人たちってたくさんいそうです。

ladies&gentleman

という呼びかけがありますが、あれも、「淑女と紳士」ではなく、「上流階級と下流階級のみなさん」という意味なんだそうです。常に上流階級が先なんですね。

目からウロコ!!!

シナリオを書くときにとても大切なこと

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これは、私がかなり前に書いたシナリオ原稿の文字の部分だけ塗りつぶしたものです。

ある高名な脚本家によると、これだけでこのシナリオがよくないシナリオとわかるそうです。

では次に、数年前に絶賛されたある映画のシナリオを原稿用紙1枚分だけ書いて、その部分を塗りつぶしてみました。


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どうでしょうか。こちらは件の高名な脚本家によると、これだけでかなり読む気にさせるシナリオだとわかるそうです。そういえば、フジテレビのヤングシナリオ大賞を取っていまも大活躍中の別の高名な脚本家も同じことを言ってました。


どういうことかというと、


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ちょっと見えにくいですが、文末を赤ペンでたどってみました。ものすごくギザギザが大きいですよね。折れ線の角度が鋭角になっている。こういうのがいいシナリオの条件だそうです。


最初に見せた私の原稿を赤ペンでたどってみると、


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ほとんどギザギザがありません。これは非常に読みにくいし、読む者の気持ちを萎えさせるシナリオということになるそうです。

どうしてこういう原稿になってしまうかというと、自然にそうなるんじゃないんですよね。コンクールに出す場合には厳密な枚数制限がありますから、削るときに、一文字二文字だけで改行になっているところは、どうしても一文字二文字だけ削除したくなるわけです。

「~~らしいんだよ」
     ↓
「~~らしいよ」

とか、

「とにかく、~~」
    ↓
「兎に角、~~」

とか、

「ただ、それを言ったら~~」
    ↓
「ただそれを言ったら~~」

みたいな感じで強引に2行を1行にしてしまう。そうやっていろんなところを削除してたんですが、これをすると、どうしても画像のように、1行20文字を目いっぱい使ってしまうことになります。で、塗りつぶすと真っ黒になってしまう。

本を読んでいるとき、改行がほとんどないページって読むのしんどいでしょ。あれと同じです。

だから、カットできるところをカットするのは内容を煮詰めるのにとても大事なことですが、できるだけ大きなギザギザを残したまま削っていくことが重要です。

つまり、ひらがなを漢字にして2行を1行にするとか、語尾をちょっとだけ削るとか、読点を省略するとかそういうことじゃなくて、そのセリフそのものをカットできないか、そのシーンを丸ごとカットできないか、と大きな視野に立つことが重要なのです。

かつて、姑息な手で削る作業をしていたからこそ、大いなる自戒と後悔をこめて!!




ツイッターが苦手な理由

こうやってブログをやっていますが、ツイッターもやってまして、まぁあっちはブログの拡散用に始めただけなんですけど、やってみると面白いので楽しんでやっています。

とはいえ、ツイッターは苦手なんです。どうにも140文字以内で書かなければいけないというのが、ね。

ブログは字数制限がないからいいのかな、でもあまり長くなったら嫌がられるのでは、と思って最近はだいぶ書いてからだいぶ削除して投稿してるんですがね。

何で字数制限があるほうが苦手なのかな、と考えるに、おそらく「言葉を操ろう」としているからだ、という結論に至りました。

え、ブログだって言葉を操って書いてるんじゃないの? という声が聞こえてきそうですが、決してそうではありません。

例えばシナリオを書く場合、作者が登場人物を操ってはいけないのです。登場人物が作者である自分自身を操るように仕向けなければいけない。操られることに快感を感じないと生きた人物は描けません。

これは映画の感想とか単なる意見を綴るときも一緒で、言葉が自分自身を操らないと面白い文章になりません。他人様が面白いと思うかどうかなんてわからないけれど、少なくとも自分で読み返して面白いと思える文章は、言葉に操られないかぎり書けないのです。

斉藤和義の名曲『歌うたいのバラッド』の冒頭は、こんな歌詞になっています。

嗚呼、歌うことは難しいことじゃない
ただ声に身を任せ、頭の中をからっぽにするだけ

まず、言葉が口をついて出て、その出た言葉に身をゆだねればあとは自然に・・・というものなのです。

頭で考えてはいけません。

『小説家を見つけたら』という映画がありました。あれで小説家役のショーン・コネリーが言っていました。

「初稿はハートで書け。リライトには頭を使え」

逆にいうと、リライトの段階に至らないかぎり頭は使わないのです。
喋るときに「自分が口を動かして言葉を喋って」ないでしょ? 言葉が口を動かしているという感覚のはずです。誰だって。なのに、書くときになるとみんな構えてしまって(つまり頭で考えてしまって)順逆を間違えてしまうんですね。

と、以上のようなことがわかっていながら、ツイッターでは言葉を操ろうとしてしまうのですね。短いほうが頭使うじゃないですか。俳句とか川柳を考えるときってものすごく知恵絞らないと書けないですもの。

「ツイッターよりもブログのほうが本領ですね」と知り合いから言われたことがありますが、おそらく、言葉を操るのが好きじゃないのです。というか、言葉に操られるのが好きでたまらないのでしょう。

本を読んでいるときだって、「私が文章を読んでいる」のではなく、「文章が私を導いてくれている」という感覚ですから。

でも、ツイッターで文章を綴るときは、自分を客体に置く、という芸当ができない。だから逆にそういう芸当ができる人、短い文章で鋭く物事の本質をついてしまえる人を尊敬しているのです。


福田恆在『人間・この劇的なるもの』(劇・死・花)



福田恆在さんの『人間・この劇的なるもの』読了。
いやはやとにかく素晴らしい読書体験でした。


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私ごときが偉大な先人の偉大な思想を論評するなんてもってのほか。

だから、この本のどういうフレーズにグッと来たか、そこだけを書き記したいと思います。(言葉通りではありません。主観的な採録ですのであしからず)


「個性などというものを容易に信用してはならない。そんなものは自分が演じたい『役割』にすぎぬ」

「死によって生は完結する。死によってしか完結しえない」

「古代の人々が祭儀に託したのは、生きながら死を経験することだったのではないか。祭儀は自らの生を燃えあがらせるためにあったのではないか」

「演劇は祭儀でなければならない。劇作家は祭祀であり、主人公もまた祭祀でなければならない」

「劇は究極において宗教的なものであった。その本質は今日もなお失われてはならぬ」

「自由ということ、そのことに間違いがあるのではないか。自由とはしょせん奴隷の思想ではないのか」

「自然は厳しい『形式』をもっている。太陽や月の運行によって私たちは生かされている。だから形式を否定する自由というものはそもそも間違っている。私たちは形式によって初めて人生全体と交合できる。初めて『生きている』と言えるのではないか」


シェイクスピア研究や自ら劇作に励むなかで、人生を演劇として見つめる独特の人生観、人間観が展開されています。

自然という「形式」の枠組みの中で生を謳歌するのが本当の人生だ、と。決して自由になってはならない。自由は個人主義の限界をあらわにするだけだ、形式こそ「全体」へと至る道である、みたいなことも書かれています。

福田恆在さんの言う「全体」とは、宗教や祭儀という言葉から察するに、おそらく「神」ということなんでしょうね。そんなワードはひとつも出てきませんが。

そして、私が一番グッと来たフレーズは、以下のもの。

「我々は博物学でも博物学者でもなく、生きた『花』を求めているはずだ」

本書でもちらっと触れられる世阿弥の『風姿花伝』の一節、

「鬼しか演じられないのはその程度の役者。花を演じられてこそ本当の役者」

を思い出しました。




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