先日、BS1スペシャル『ウイルスVS人類③スペイン風邪 100年前の教訓』を見て驚愕しました。
スペイン風邪とナチス
1918年から20年まで約3年に亘って猛威を振るったスペイン風邪(英語ではスパニッシュ・インフルエンザ)のせいでナチスが誕生したというのです。
その前に、第一次世界大戦をドイツの負けで終わらせたのもスペイン風邪だったというから驚きです。
当時のドイツ軍の将軍が「ドイツはアメリカに負けたのではない。インフルエンザに負けたのだ」と言ったとか。
講和条約を締結するためのパリ講和会議では、ドイツに多額の賠償金を支払わせるべきだと主張するフランスと、もっと穏便に解決すべきだと主張するアメリカが激しく対立していたそうです。
アメリカのウィルソン大統領は何とかその線で押し切るつもりが、スペイン風邪にかかってしまいダウン。死にはしなかったものの、治って会議に戻った頃にはフランス派が優位で、ウィルソンもまだ体調が思わしくなかったので「フランスの言うとおりでいいでしょう」と妥協してしまったとか。
この結果、莫大な賠償金のせいでハイパーインフレが起こったドイツでは民衆の経済的困窮が続き、「ドイツ復活!」「ドイツ・ファースト」を掲げるヒトラーの登場を大歓迎したとか。
スペイン風邪がなくともヒトラーは登場していたでしょうが、登場しても、ベルサイユ条約がまったく違った形で締結されていれば、ヒトラーやナチスは歓迎されていなかったかも、という驚きの内容でした。
「歴史=his story by virus」?
歴史を意味する英語「history」は「his story」つまり、時代の支配者である男たちの物語のことだ、とはよく言われますが、本当にそうなのでしょうか?
ベルサイユ条約やナチス、ヒトラーについて、スペイン風邪による影響なんていまのいままで知らなかったし、それらに関する本にもこれまで書いてあったためしがありません。
年初に放送された『100分deナショナリズム』で取り上げられていた『昭和維新試論』を読んだんですが、この本には原敬がどうのこうの、という記述がいくつかある。『ウイルスVS人類③』では、原敬がスペイン風邪にかかってその後の政治が変化したと言っていました。
しかし、『昭和維新試論』にはそのような記述は一切ありません。明治から昭和初期までを扱うこの書物は、スペイン風邪が大流行したことなど「まるでなかったかのよう」に書かれています。
それがダメだと言いたいのではなく、本当なら歴史は「his story by virus=ウイルスによる支配者の物語」として記述されるべきなのに、後半を捨象したのが巷間に流布されている歴史なのだということ。
人類はCOVID-19をいつまで憶えていられるか
『ウイルスVS人類③』では、スペイン風邪は一説によると1億人もの死者を出したのに完全に忘れられた、その要因のひとつは直後の1923年に起こった関東大震災だろう、と言っていましたが、別に大震災がなくとも忘れられていたんじゃないでしょうか?
喉元すぎれば熱さを忘れる。
緊急事態宣言がまだ出ているのに、早く企業活動を再開させないと、という考えから休業要請を解除し、そのために日本中の繁華街で人出が戻っています。
喉元すぎれば熱さを忘れる。
私は別にそれが悪いと言っているのではありません。人間とはそういうものだというだけの話。私自身、街なかへ繰り出したしね。
COVID-19(=新型コロナウイルスによる新型肺炎の正式名称)を我々はいつまで憶えていられるか。
ほんの少し前までは「自粛警察」が幅を利かせていましたが、休業要請解除の動きから一変、自粛警察のニュースなど見なくなりました。
それどころか、1年後には「自粛警察」がまったく違う意味で使われている可能性があります。自粛しない人や店を叩くのではなく、過度に自粛する人たちを叩く。
もうCOVID-19など過去の遺物だとばかり、三密を防ぐための新しい生活様式を厳守する人たちを叩きまくる可能性は充分あると思います。
それを防ぐためにも、我々は新型コロナウイルスやCOVID-19をいつまでも憶えていなくてはいけないし、COVID-19によって世界の歴史がどう変わったのかを記述し続けていかなくてはならないと思う次第です。
スペイン風邪とナチス
1918年から20年まで約3年に亘って猛威を振るったスペイン風邪(英語ではスパニッシュ・インフルエンザ)のせいでナチスが誕生したというのです。
その前に、第一次世界大戦をドイツの負けで終わらせたのもスペイン風邪だったというから驚きです。
当時のドイツ軍の将軍が「ドイツはアメリカに負けたのではない。インフルエンザに負けたのだ」と言ったとか。
講和条約を締結するためのパリ講和会議では、ドイツに多額の賠償金を支払わせるべきだと主張するフランスと、もっと穏便に解決すべきだと主張するアメリカが激しく対立していたそうです。
アメリカのウィルソン大統領は何とかその線で押し切るつもりが、スペイン風邪にかかってしまいダウン。死にはしなかったものの、治って会議に戻った頃にはフランス派が優位で、ウィルソンもまだ体調が思わしくなかったので「フランスの言うとおりでいいでしょう」と妥協してしまったとか。
この結果、莫大な賠償金のせいでハイパーインフレが起こったドイツでは民衆の経済的困窮が続き、「ドイツ復活!」「ドイツ・ファースト」を掲げるヒトラーの登場を大歓迎したとか。
スペイン風邪がなくともヒトラーは登場していたでしょうが、登場しても、ベルサイユ条約がまったく違った形で締結されていれば、ヒトラーやナチスは歓迎されていなかったかも、という驚きの内容でした。
「歴史=his story by virus」?
歴史を意味する英語「history」は「his story」つまり、時代の支配者である男たちの物語のことだ、とはよく言われますが、本当にそうなのでしょうか?
ベルサイユ条約やナチス、ヒトラーについて、スペイン風邪による影響なんていまのいままで知らなかったし、それらに関する本にもこれまで書いてあったためしがありません。
年初に放送された『100分deナショナリズム』で取り上げられていた『昭和維新試論』を読んだんですが、この本には原敬がどうのこうの、という記述がいくつかある。『ウイルスVS人類③』では、原敬がスペイン風邪にかかってその後の政治が変化したと言っていました。
しかし、『昭和維新試論』にはそのような記述は一切ありません。明治から昭和初期までを扱うこの書物は、スペイン風邪が大流行したことなど「まるでなかったかのよう」に書かれています。
それがダメだと言いたいのではなく、本当なら歴史は「his story by virus=ウイルスによる支配者の物語」として記述されるべきなのに、後半を捨象したのが巷間に流布されている歴史なのだということ。
人類はCOVID-19をいつまで憶えていられるか
『ウイルスVS人類③』では、スペイン風邪は一説によると1億人もの死者を出したのに完全に忘れられた、その要因のひとつは直後の1923年に起こった関東大震災だろう、と言っていましたが、別に大震災がなくとも忘れられていたんじゃないでしょうか?
喉元すぎれば熱さを忘れる。
緊急事態宣言がまだ出ているのに、早く企業活動を再開させないと、という考えから休業要請を解除し、そのために日本中の繁華街で人出が戻っています。
喉元すぎれば熱さを忘れる。
私は別にそれが悪いと言っているのではありません。人間とはそういうものだというだけの話。私自身、街なかへ繰り出したしね。
COVID-19(=新型コロナウイルスによる新型肺炎の正式名称)を我々はいつまで憶えていられるか。
ほんの少し前までは「自粛警察」が幅を利かせていましたが、休業要請解除の動きから一変、自粛警察のニュースなど見なくなりました。
それどころか、1年後には「自粛警察」がまったく違う意味で使われている可能性があります。自粛しない人や店を叩くのではなく、過度に自粛する人たちを叩く。
もうCOVID-19など過去の遺物だとばかり、三密を防ぐための新しい生活様式を厳守する人たちを叩きまくる可能性は充分あると思います。
それを防ぐためにも、我々は新型コロナウイルスやCOVID-19をいつまでも憶えていなくてはいけないし、COVID-19によって世界の歴史がどう変わったのかを記述し続けていかなくてはならないと思う次第です。
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