ガンではなかった
胃と十二指腸の間に腫瘍ができた親父がおととい検査を受けた。胃カメラで腫瘍の組織を取った。

ガンではなかった。
正確には「取った組織に悪性のものは認められなかった」です。良性のすぐ横に悪性が潜んでいる可能性もあるのでいまのところ何とも言えないと。

その前に、訂正を。

前回は「母親が言っていた逆流性食道炎は正しかったけど、十二指腸潰瘍は間違い」と書きましたが、あれは僕の間違いでした。十二指腸潰瘍だったそうです。

ただ、十二指腸には潰瘍の痕はまったくなく、おそらく初めてだろうということでしたが、胃には潰瘍の痕(斑紋?というのか)が結構あり、苦しい思いをしたことがあったのではないか。という話もありました。

母は「人間ドックではいつも胃は頑健そのものと言われていた」と言ってましたが、結構弱かったのかもしれません。


手術の必要なし
さて、前回は仮に良性であっても手術をしたほうがいいということでしたが、胃の中の画像を見てみると前回とは打って変わってきれいなピンク色で、幽門も前回よりは大きくなっている。

ほんの1週間前は流動食すら忌避していたのに、いまは五分粥を食べているとか。食べたものはすべて腸へ流れているらしい。この調子だと全粥にしてもいいんじゃないかという話。そして、いま現在は手術の必要なし、とのこと。

よかった。

そもそも、先生との話の前に親父に会ったとき、カーテンを開けると悠然と足を組んでいつものように偉そうな面をしてましたっけ。元気になったんですな。食べる食べないでこんなに変わるのか、という感じ。

前回はいまにも死にそうだったので、仮に悪性でも手術はせずに家で犬と再会させてあげたほうが……と言いましたが、いまはまったく変わりました。


転院
変わったといってもここからがまた大変で、母親などは先週よりも今回のほうが「困った困った」と頭を抱えているのです。

というのが、いま自力では立てないんです。立ちさえすれば結構すたすた歩けるけれども立ち上がることができない。おそらく階段も上がれない。門から玄関まで数段の階段もいまの状態だと絶対上がれない。

となると、病状的にはいま退院させてもいいとのことだけれど、足のことを考えると、転んで頭を打つ、足を骨折して寝たきりになる、などのリスクのほうが大きく、リハビリ専門の病院に転院させたほうがいいんじゃないか、と。

それは僕も母も先生も同じ意見なのだけど、当の本人は毎日毎晩「帰りたい帰りたい」と言って看護婦さんを困らせているらしく(病院でも犬自慢をしているらしい)実際、3年前だったか、人工関節を入れたあともリハビリ専門の病院に転院したけれど1か月くらいしかもたなかった。それが今回は2か月必要とか。

母親は「絶対嫌がる。どう言って説得すればいいか」と頭を抱えてるんですけど、僕は楽観的です。帰る間際に話した看護婦の話だと、本人の了承は必須だけれど一言でも「わかった」と言質を取ればいいらしく、うまく言いくるめればいいだけの話。

「お父さんがいないから犬が淋しがって最近はお父さんのベッドで寝ている、また散歩に連れて行ってあげたらどれだけ喜ぶか」

みたいな話で何とかならないか。人一倍疑り深いから骨が折れるだろうけど、前回は「死ぬのを待つしかないのか」ぐらいの悲壮感で家路につきましたが、今回は晴れ晴れとした感じでした。あれだけの憎まれ口を叩くのだからね。

ただ、転院先でのリハビリは2か月と言ったけれど、逆に2か月たったら絶対に退院しないといけないんです。家に帰ることが叶うかもしれないし、それが無理な場合は施設に入れるしかないと。帰宅か施設か、二者択一だそうです。

それから、2か月といっても実際は1か月ぐらいでおおよその判断が下されるそうです。そして、転院先が胃カメラできるところであれば、2か月後くらいに再度組織を取って悪性でないかどうかを診ることも可能と。向こうのお薦めに従って転院先の希望を出してきたけど、その病院が胃カメラ検査ができる病院かどうかはすぐわからないって、何それ。そんな情報も共有してないのかと腹が立った。

それはさておき、施設という判断が下ったらもう犬には会えない。それはもうしょうがない。

それより、いまはリハビリして元気な姿で帰宅する可能性に賭けたほうがいいんじゃないかというのが僕の意見。

ところで……


認知症
2か月後の再検査で「悪性」との診断が下された場合は手術するかどうかの選択を迫られます。

前回は、「本人が手術を拒否したらとりあえず説得する」という結論が出た、と言ったら、

「本人はなぜ入院しているのかもわからないんですよ。とりあえず『わかった。受ける』と言ったとしても明日にはまた『絶対いやだ』というかもしれないんですよ。言うことがころころ変わるんです。そのときはどうしますか」

と、何だか小学校の先生に叱られるみたいな感じで言われてしまって、「すいません、その可能性は考えていませんでした」と答えました。

とにかく、前回も今回も先生が強調していたのが「本人は認知症である」ということ。いまなぜ自分がここにいるかがわかっていない。説得と一口にいってもそのような人間を説得するのは難しい。(いまになって、経験談としてうまく説得できた例を教えてほしいと言えばよかったと思うけど、話をしている最中は威圧されてしまって質問が思い浮かばなかった)

というわけで、今回話し合うべきテーマは、

①転院させてリハビリを受けさせるか、いますぐ帰宅させるか。(これについては前者で異論はないと思う)
②2か月後、悪性の診断結果が出た場合、本人が手術を拒否したらどう対応するか。
③(お金が絡む話だけど)リハビリの効果が出て帰宅できそうとなった場合、家の中だけでもバリアフリーにするかどうか。
自動で車椅子ごと上げてくれる機械あるよね。あれをつけるのはどうか、と言われました。少なくとも段差はなくしたほうがいいと。(これについては家の財政状況がわからないので僕には何とも言えません)

最後に、

「三男さんはいますぐにでも家に連れ帰りたいって先週は言ってたじゃないですか。それが手術を受けるよう説得するという結論に至ったのは、お二人のお兄さんの意見ですか? やっぱりね。だいたい遠くにいる人はそう言うんですよ。実際に病状を見ている人間は『でも、それが本人にとって本当に幸せなことなのか』と考えるんですが。『実際に見てないからそんなことが言えるんだ』くらいのことは言ってください。今日の話し合いではお母さんと三男さんが主導権を握ってください」

とのこと。

一番難しいの②ですよね。体力的にもたないと判断されてしまったら、もうどうしようもないことだけど。

ちなみに、手術して入院となると、僕とお母さんが交代で24時間付き添っていなければいけないそうです。そして、いつ退院できるかはまったくわからない、と。



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