本来であれば今日見に行こうと思っていたアメリカ映画『ハリエット』が公開前日に突如延期となりました。


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これまでにも新型コロナウイルスのせいで公開延期になった映画はいろいろありますが、予定通り公開されてるもののほうが圧倒的に多いですよね。

アメリカはすべての映画館が営業できなくなったらしいですが、いまのところ日本では、不急の外出自粛要請の出た東京の映画館が週末営業を休止する程度。神戸ではすべての映画館が営業しています。

だから、新型コロナウイルスのせいで上映できないわけではなく、上映館はあれど「いま公開しても儲からない」と判断された映画が延期になってるわけですよね。(『ムーラン』や『ワンダーウーマン1984』のように、全米公開後に日本公開となっていたのが、全米での公開が延期になったため日本での公開も延期というのはもちろんこの話の対象外です)

いま公開しても儲からない。

それは、いまはいくら映画館が営業していてもみんな濃厚接触を嫌って映画館に行こうとしない。だから……ということなんでしょう。神戸の映画館も押しなべて「いつもの5割から6割程度の入り」だそう。(ただ、ライブハウスやスタジアムと違って映画館ではほとんどの人が口を開かずに黙って見ているだけなので飛沫感染のおそれはかなり低いと専門家が言ってましたけど……それはまた別の話)

『ハリエット』みたいなノースター映画の場合は通常の状態でもそんなにたくさんの観客動員は見込めないから、この状態で公開したら大赤字でしょう。

『ストーリー・オブ・マイライフ』はシアーシャ・ローナンやティモシー・シャラメがはたしてスターなのか否かは微妙ですが、結構地味目な映画だから公開延期というのは賢明な判断のように思えます。

一方で、『三島由紀夫vs東大全共闘』のような好事家しか見ないような映画が上映館数が少ないにもかかわらず興行ランキングトップテンに入ってくるという状況が出来していて、なかなか面白いな、と。

何が言いたいかというと、予定通り公開に踏み切るか、それとも延期するか、配給会社の判断が見ものというか、映画そのものよりも「この映画は延期したほうがいいのでは?」とか「これは延期しないほうがよかったんじゃないか」とか、そっちのほうが面白くなってきたな、ということ。『ハリエット』の配給会社も会議に会議を重ねたんだろうな、というのが目に浮かびます。何しろ公開前日に延期決定ですからね。

数か月後か1年後にはその正否が判明するわけで、楽しみ。

そういえば、製作された97年秋に日本公開が決定していた『L.A.コンフィデンシャル』が、「拙速に公開してもコケるだけ」と延期に延期を重ね、焦らしに焦らせて翌夏に公開してスマッシュヒットを記録したことが思い出されます。

あれはウイルス禍とは無縁とはいえ、いつ公開するかで儲けが違ってくる状況は同じなわけで、各配給会社の判断が非常に面白い今日この頃。

だから『三島由紀夫vs東大全共闘』を延期せずに公開に踏み切った配給会社は非常に賢いというか、いったいどういうデータを駆使してそういう結論に至ったんでしょう? AIでビッグデータ解析でもしたんでしょうか。私なら即座に延期決定してたように思う。すごい。

でも、こんな呑気な話はまだまだ感染とはほとんど無縁だから言えることであって、もっと広がってきたらそれどころじゃなくなるから注意しなきゃ。映画館に行っても手洗いや除菌・消毒は怠らないようにしましょう。

とはいえ、いくら自分が気をつけていても職場で感染者が出て一時的に閉鎖となったら給料が減ってしまう。映画どころじゃないぞ。しかも、今回のウイルスは突然変異しやすいらしいからワクチンができても無意味になる可能性が高いとか。いったいいつまで続くのか。

最後に蛇足。
『ストーリー・オブ・マイライフ』はコロナに関係なく109シネマズで公開する映画じゃないと思いますがね。ウイルス禍を奇貨として単館系にシフトしたほうがいいのでは?


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