2020年03月17日

東京時代の恩師である、じんのひろあきさん(『櫻の園』など)に初めて自作シナリオを読んでもらったとき、こっぴどく叱られました。

「どうしてファーストシーンでこんなどうでもいいことを書くんだ。最初から暴走するくらいの勢いで話を進めていかなきゃダメだろう。映画ならまだいいけどテレビだったらチャンネル替えられちゃうよ。いまの観客はこんなテンポの遅い話には誰も乗ってこない」



captain1 (1)

いま、DAZN(チャンピオンズリーグがいつ再開するのかわからないのでいったん解約するつもり)で『キャプテン』を見てるんですが、40年も前の作品なのに異常なまでに展開が速いんですね。

こんなあどけない顔をして名門・青葉学院中学から平凡校・墨谷二中に転校してきた谷口くん。二軍の補欠だったのになぜかみんな「青葉のレギュラー」と勘違いしてしまう。そして連夜の猛特訓をする。それを前キャプテンが陰で見ていて彼を新キャプテンに指名する。

までを何と第1話で描いているんですね。記憶では数話かかっていたように思うんですが驚くべき速さ。

しかも、第2話では「キャプテンなのにノックもできない」と新入生イガラシを怒らせ、それも連夜の猛特訓で覆してみんなを驚かせる。

そして地区予選の一回戦。優柔不断の谷口くんらしいミスでリードを許すが、自身の逆転サヨナラランニングホームランで勝利の立役者となり、押しも押されぬキャプテンとなる。

ここまででまだ2話。こんなに速かったの? 

第3話はデータ野球を標榜する嫌味なマネージャーが支配する金成中が相手で、3話だけでは試合が終わらないんですが、続く第4話の半分までで勝利し、決勝の相手、青葉学院のプロ並みの練習をナインに見学させ、そしてシートノックを半分の距離から行うという殺人的練習をナインに課す。


captain2

あの「一番キャプテンらしからぬキャプテン」だった谷口くんが4話ですでにこの顔です。

そして、怪我人続出に激怒したナインが抗議しに谷口くんの家を訪ねると、神社で深夜の猛特訓をしている。それを見たナインは自分たちの不明を恥じる。「好きだね、抗議が」や「これなんだな、キャプテンのみんなを引っ張る力ってのは」というイガラシの名セリフが聞けるのもこの第4話です。

うーん、こんなに展開が速かったとは。

そういえば……


『機動戦士ガンダム』いわゆるファーストガンダムでは、ただの機械いじりの好きな少年アムロが、ガンダムの正規のパイロットでもなければ地球連邦軍の軍人ですらないのに、父親の作ったガンダムに乗り込みザクを倒すまでが第1話で描かれます。

『新世紀エヴァンゲリオン』では、主人公・碇シンジがエヴァ初号機に乗り込むのも第1話です。ま、庵野秀明さんはファーストガンダムの第1話をかなり参考にしたらしいですし、シンジは最初から初号機のパイロットとしてネルフに呼ばれたのだから、そんなに難しくなかったはずですが、アムロがガンダムに乗り込んでザクを倒すまでを正味22分ほどでやるのは至難の業。シャアがサイド3に潜入してスパイ活動したり、その過程でセイラと再会するというサブプロットも展開させながらですからね。天才。

というわけで、じんのひろあきさんは「最近の客はテンポの遅い話には乗ってこない」と言ってましたが、むしろ昔の子どものほうがテンポの速さを求めていたんじゃないか。

最近見た『映像研に手を出すな』とか『荒ぶる季節の乙女どもよ。』、京アニの『響け! ユーフォニアム』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』などを見ていても、テンポはあまり速くない。じっくり丁寧に描写している感じ。

いまは子どもよりむしろ大人がアニメを見ているからなんでしょうかね?

そのへんの事情はよく知りませんが、とりあえずいまから『キャプテン』の第5話を見ます。5話にして青葉学院との決勝戦というのだから恐れ入ります。





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