2020年01月15日

最初の『機動戦士ガンダム』、いわゆる「ファーストガンダム」の終盤は「ニュータイプ」という言葉が最大のキーワードになりますが、初めてニュータイプとして実戦に起用されるのは、我らがアムロ・レイでもなければシャア・アズナブルの寵愛を一身に受けるララァ・スンでもありません。

この男、シャリア・ブルです。


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このシャリア・ブルが出てきた時点ではまだララァは実戦に出ていないし、アムロはさんざん実戦やってますが、「おそらくニュータイプだろう」と思われているだけで確証はなかった。「ニュータイプとして実戦に投入された」のは、だからこのシャリア・ブルが最初なわけです。

子どもの頃に見たときはまったく印象に残らず、第39話のタイトルが「ニュータイプ、シャリア・ブル」とあるのを見て「誰だっけ?」と思ったほど。

この男は木星帰りとかでギレン直属の部下なんですが、キシリアのもとへ行けと命じられます。キシリアとギレンが犬猿の仲であることはみなさん知ってますよね? 


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ギレンもシャリア・ブルがそのことを知っていると充分承知していて、

「私がキシリアのもとへ行けというのだから、その意味はわかっているだろうな」

みたいなことを言います。

結局シャリア・ブルは、ニュータイプとして覚醒し、ガンダムですらその能力についてこれなくなったアムロによって殺されます。あまりにあっけなく殺されるので印象に残っていなかったのでしょう。

でも大人になってから見ると、妙に印象に残るのです。

それは彼の死についてシャアが言うセリフがあるからです。

「彼はキシリア様とギレン様の間でうまく立ち回ることなどできなかっただろう」

そして、あっけなく殺されたほうが彼のためには幸せだった、と。

戦闘能力は高いが組織人としては不器用。シャリア・ブルとはそんな男。シャアにはそれがよくわかっていた。

しかし、「戦闘能力は高いが組織人としては不器用」……

これって、アムロにもララァにも言えることですよね。シャアはララァも同じ運命をたどるかもしれないと思ってあんなセリフを言ったのかも。

でも、最終的にニュータイプとして覚醒するシャアだけは組織人としても非常に器用というのが何とも皮肉というか。

私自身、組織の中でうまく立ち回るのがぜんぜんうまくないので、シャリア・ブルの悲哀が胸に突き刺さってくるのでありました。


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