2019年09月06日

マリサ・トメイがアカデミー賞を受けた驚愕の瞬間がいまだに忘れられない『いとこのビニー』(1992)を再見しました。

四半世紀以上前の初見時は「まあまあかな」という程度でしたが、今日見直してみて「傑作!」と思いました。(以下ネタバレあります)

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脚本とキャスティング
この映画、何といっても脚本がいいですよね。正確には脚本とキャスティングのコラボレーションかな。

まず、ジョー・ペシが少しも弁護士に見えない。しかも、大学を出て6年かけて司法試験に合格し、初めての法廷、ということは、え、まだ30前後? 少しもそんなふうに見えない。ちなみにこのときのジョー・ペシの実年齢は49歳(!!!)

マリサ・トメイはこの男のどこに惚れたんだろう、と見ていると、何だかんだ言ってかなり一生懸命ですよね。嫌味な判事に借りたアラバマ州の法律についての分厚い本を深夜3時まで読んでいたり。マリサ・トメイもちゃんとそれにつきあってあげる。先に寝たりしない。

事件解決のオーラスで「あなたはこの先も誰かの力を借りないと弁護士やっていけないのよ! どうせそういう男なのよ!」とマリサ・トメイが吼えるシーンがありますが、そういう「放っておけない」ところに惚れたんですよね。だから、主人公とその恋人のキャラクター設定と描写に関して、つまり脚本に関しては文句なしにいい仕事をしていると思います。

ただ、この主人公を実年齢49歳のジョー・ペシが演じる。その時点で嘘臭い。でも、その嘘を嘘と感じさせないジョー・ペシの役者としての柄といいますか、この2年前には『ホーム・アローン』でコメディをやっていたし、『グッドフェローズ』だってギャング映画だけど彼の役どころはかなりユーモラスなものでした。恐くもあったけど。


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そんなジョー・ペシが嫌味な判事(いい顔を選んでます)にほぼ毎回、法廷侮辱罪で監獄送りにされながらも一生懸命健気に頑張る姿を見て、観客は彼のことを応援するようになります。

そして、この粗野でがさつで少しも弁護士らしくない男が難事件を解決してしまうラストに思わずこちらも「ヨッシャ!」とガッツポーズしてしまうんですね。映画が終わったときには主人公が30前後の設定とかそんなことはどうでもよくなっています。

だから、よくできた脚本と、マイナス面もあるけどプラス面のほうが大きかったジョー・ペシのキャスティングが勝因かと。

でも、もっと大きな勝因は「演出」ではないでしょうか。


演出
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ラルフ・マッチオ、いまはどこでどうしているの? と嘆きたくなりますが、それはともかく、この映画は、古典的ハリウッド映画でよくあった、画像のようなツーショット、スリーショットがとても多いのが特徴です。

判事に叱られているジョー・ペシと彼を心配げに見るラルフ・マッチオを同時に画面に収める。いまのアメリカ映画なら二人を個別に撮って編集でつないで見せる演出が多い。そうすると、ひとつの画面に焦点がひとつしかない、ということになってしまいます。


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これは最後の勝った場面ですが、手前の二人と奥の判事と合わせて3つの焦点があります。ワンショット内の情報量が多いのです。

この題材で119分は長いような気がしないでもない。でも、こういうまっとうな演出手法をとったからこそ2時間以内に収まったとも言える。

逆に言えば、いまのアメリカ映画はワンショット内の情報量が少ないから無駄にカットを重ねねばならず、自然と上映時間は長くなる。

いまの観客はおそらく映像を読む力が衰えています。上の画像の場面で言うなら、ジョー・ペシ、マリサ・トメイ、そして判事。3人の表情を数秒で捉えないといけない。それができない客が増えてしまったから情報量の少ないショットをよけいに積み重ねないといけなくなり、上映時間は長くなるばかり……という悪循環に陥っています。

というわけで、古典的ハリウッド映画の作法に則った『いとこのビニー』は正真正銘の傑作と言いたいのです。


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それにつけてもマリサ・トメイ。美しい。











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