高校の後輩でTBSアナウンサーの宇垣美里。
3年くらい前に『あさチャン』で初めて見たときは後輩であることはまったく知らず、「かわいいけどもっとかわいい女子アナはいくらでもいるでしょ」と思っていました(うちの学年には彼女よりかわいい子が3人はいたと思う)。後輩と知ってからはよけいに冷めた目で見るようになり、『あさチャン』を降ろされたと聞いたときも「そりゃそうだろう」とファンが聞いたら怒られるような感想しかもちませんでした。

「何で私が降りなきゃいけないんですか」と上層部に食って掛かったという情報を聞いたときも「そんなんだから降ろされるんだよ」と思ってしまいましたが、今回『週刊文春エンタ』での映画史研究家・春日太一氏との対談を読んでガラリと見方が変わりました。



まず何よりもクリント・イーストウッドが好きというところがいいですね。なかでも『グラン・トリノ』が大好きでいまだにベストワン映画なんだとか。へぇ~。でも『ミリオンダラー・ベイビー』を見て怒ったと。自分が死ぬのと殺すのは違うじゃないかというんですが、いや、殺すといっても殺される側もそれを願ってるんだからその見方は違うんじゃないかと……。でも、『グラン・トリノ』が一番好きだなんてセンスが良い。泉下の大先輩・淀川長治さんも喜ぶのでは?

それはともかく、私は『カードキャプターさくら』とか『少女革命ウテナ』とか『セーラームーン』などはまったく見たことがないのでよくわからんのですが、それらのアニメの影響で、

「自分たちで作らないとその未来には意味がない」

と、なかなか強い志を子どもの頃からもっていたというから驚きです。

そして、『かぐや姫の物語』のような「白馬に乗った王子様がいつか迎えに来てくれて……」という少女マンガ的憧れを強く否定するようになった、と。

「でも、それは同志社大でミスキャンパスに選ばれたことと矛盾するのでは?」との春日氏の当然の質問に対し、

「絶世の美女とは思ってないけど、自分の見た目はある種の武器になるとは思っています」

という驚きの答えが返ってきて春日氏も圧倒されてましたね。外見がいいことを自認することを許されない世の中でそういうことが言えるのは素晴らしいと。

でも、少女マンガ的憧れを否定するのとミスキャンパスを武器にするのはやはり矛盾するわけで、だから、

「宇垣の言っていることは理解できない」

と周りから思われていたのでしょう。岩下志麻のような凛としたブレない人が目標だと言いながらブレてるじゃないか! と、どうしても思われてしまう。

でも、この人の中でそれは矛盾していないんだと思います。

自分というものをしっかり持った「孤高」の人に憧れると言いながら、アナウンサーになった当初はアナウンサーっぽい服装をしようと心掛けたりとか、

「人に求められてることをやろうって思うわりに、絶対に曲げない部分もあるので、そこの齟齬をもうちょっと直していけたらな、と思うんですけどね」

それに対する春日氏の「敵も作るかもしれないけど~」という受けに納得というか、絶対に曲げない部分をもっている人間は敵が多い。

私も似たような精神構造だからよくわかる。なるほど、『あさチャン』を降ろされたのはそういうところが災いしてのことだったのかと初めて知りました。不明を恥じます。

でもね、そういう「本人は何も悪くないのに無意識に敵を作ってしまうタイプ」って深い友人ができるんですよ。
文中でも「高校に入ってから面白いマンガを教えてくれる友人と出逢ったと言ってましたが、その人はボーイズラブ系の作品が好みらしく、その手の作品が市民権を得ていなかった頃に「こういうのが好き」と打ち明けてくれたということはかなり心を開いてくれていた証しでしょう、と春日氏も指摘していましたが、私もまったくもって同感。こういう人は広く浅くつきあうことができず、「狭いけど深く」なんですよね。

ともかく、この対談を読んで宇垣美里という人がいっぺんに好きになりました。『ウテナ』とか『さくら』とか見てみようかと思うほど。


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