昨日放送されたETV特集アンコール『長すぎた入院』があまりに衝撃的かつ義憤に駆られる内容だったので筆を執りました。


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この時男さんという方は、39年もの長きにわたって精神科病棟に入院させられていたそうです。病名は統合失調症。当時は精神分裂病と言っていたんでしょうが、17歳のときに発病して、5年前に61歳で退院するまで39年間入院生活を強いられていたそうです。39年間ですよ。失われた青春。いや、失われた人生。

退院のきっかけは東日本大震災による原発事故。原発の近くにあった病院だったため機能しなくなり、県外に移転し、それでも福島へ戻りたいという人のための「矢吹病院」で診察してもらったら「入院の必要なし」と。


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矢吹病院の院長は言います。「本当に入院が必要なのは40人中2人だけ」と。何と95%もの患者が入院の必要なしというから驚愕です。

初めて知りましたが、世界中にある精神科病床の約20%が日本に集中しているそうです。入院日数の世界平均は28日なのに日本の平均は270日。ほぼ10倍。

根底にあるのは「偏見」なんですよね。

ある女性が、退院したから実家で暮らしたいと父親に訴えても「おまえは60歳だろう。何を甘えてるんだ。もう人生やめてしまえ」みたいなことを言われる。でも、その女性が長い入院生活を強いられたのは、家族が退院を拒んだからなんですよね。医師が入院の必要なしと診断しても家族の同意がないとなかなか退院は難しいらしい。

これは私事ですが、ちょいと前に母親が精神科病棟に入院して、そのときは父や私たち息子が退院を強く望んでいるということで2か月ほどで退院の許可が出ましたけど、強く望まなければたぶん死ぬまで出られなかったのでしょう。ぞっとします。

あの父親などは、自分で娘を長期間精神科病棟に丸投げしておいて、出てきたら「おまえのことなど知らん」と。同じ血の通った人間なのでしょうか。あの父親こそ入院させるべきじゃないんですかね。いや、ほんとに。


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でも、そのような日本だけ特異な精神科病棟の事情はさすがに世界も見捨てておけないということで、国連やWHOからの強い改善要求があり、1987年に精神保健法というのが成立し、できるだけ入院患者を退院させようという動きもあったそうです。

しかし、退院の前に「活動ホーム」というところで一定程度の社会復帰のためのトレーニングをしてから退院させようとなったのはいいんですが、今度は近隣住民から活動ホームの建設反対の運動が起こってしまう。

せっかく受け皿を作ろうという動きになっても受け皿そのものが作れないから退院させたくてもさせられない。

最近でも、保育所の数が足りないから全国各地で新しく作ろうという動きがありますけど、近隣住民の反対で……というニュースがありますが、あれと同じですね。みんな自分のことしか考えていない。

結局、臭いものには蓋をしたくてしょうがない、蓋さえ閉めておけばあとは知らないという日本人の悪い特性が如実に出ている事例だと思いました。

まだ時男さんなどは偶然の事故で出られたからいいですが、全国にはもっともっとたくさんの幽閉患者がいると思うと怒りを禁じえません。


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それでも失った人生を取り戻そう、家庭をもちたい、夢をもっていれば何とかなる、と語る時男さんの言葉に胸が熱くなりました。