先月の終わりに知り合いのプロデューサーから頼まれたホラー映画の企画ですが、こちらからお断りすることになりました。

武士は食わねど高楊枝です。

どういうことかというとですね、今回の企画はある大ヒット映画をパクる、というものなんですね。

パクることそのものが悪いことだとは思いません。

「パクリ、盗作、芸のうち」とジャッキー・チェンだって言ってるし、それでなくとも、これだけ物語が氾濫した現代において、真にオリジナルな発想なんてないでしょう。すべては「アレンジ」の問題です。ほとんどのラブストーリーは『ロミオとジュリエット』か『アンナ・カレーニナ』のパクリだし。

私のコンクール受賞作だってそうですよ。あれはもともと友人のアイデアなので。そこに自分なりのアイデアを盛り込んで私流にアレンジしたから「オリジナル」と称して応募したら幸運にも選ばれただけの話。しかし、本を正せば、その友人のアイデアだって過去のいろんな映画をアレンジしたもの。

それはともかく、依頼を受けた企画の話に戻すと、元ネタになる映画のキャラクターを一人そのまんま出す、という注文プラス主人公たちの年齢を少しだけ上げる。注文はその二つだけ。物語は自由に、ということだったから引き受けて自分なりに「これならオリジナルと称してよかろう」と思えるものを出したわけです。

すると、「企画自体の見直しをすることになった」と昨日連絡がありまして、あ、なるほど、訴えられることを懸念してボツになったのかな、と思ってたわけですよ。ところが違っていました。

今日になって、見直し自体を見直すことになったと連絡があり、集まったプロットがどれもいまいちだったから、改めて元ネタに似た内容で行くことになったと。


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いやいや、ちょっと待ってくださいよ。そこまで似せてしまったら、それこそ「盗作」になるじゃないですか。

向こうは盗作じゃないと主張していましたが、私が言っているのは法的に問題があるとかないとかそういうことじゃなくて、作家としての「プライド」の問題なのです。

そういえば、最近、久しぶりに『王様のレストラン』を再見したんですけど、あの第10話、パティシエ稲毛がストライキを起こす回で、主人公の千石さんがオーナー禄郎に言います。

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「よそで買ってきたケーキを当店のオリジナルと称してお客様にお出しせねばならない。そんなギャルソンの気持ち、オーナーにはおわかりになりますか? 長年この仕事をやってきて、あんな屈辱を受けたのは初めてです」

他の映画の物語を自分のオリジナルと称して観客に見せる。「そんな他人のふんどしで相撲を取るような真似はできません」と丁重にお断りしました。

仮に1億円積まれたっていやですね。

え? 1億円ももらえるんだったら、法的な問題さえクリアできたらやったほうがいいのでは? という声が多数聞こえてきそうですが・・・


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アホか! 

以前、山口組の組長だったか誰だったか忘れましたけど、「この世で一番恐いものは?」との質問に、

「カネでは絶対に動かない奴」

と答えていました。そういうものに私はなりたい。

(さすがに先方もわかってくれたようで、別の企画への参加は引き続きやってほしいとのこと。とりあえずはよかったです)