『キングコング』の新作と聞いても「ピーター・ジャクソンですら失敗したのに」とバカにしてた私ですが、えらく評判がいいので騙されて見にいったらばこれが大当たり! 実に素晴らしい。やはりハリウッドが本気になったら世界中の映画が束になってかかってもかなわんですねーー!!!




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ものすごいド迫力で髑髏島の神であるキングコングと他の巨大陸生生物との戦い、そして人間と兄弟生物との戦いが描かれます。(以下ネタバレあります)





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このジョーダン・ヴォート・ロバーツという新人監督さんはデビュー作にしてすでに『ジュラシック・パーク』を撮ったスピルバーグを超えていると思います。
CGによる異世界の造形が素晴らしすぎるんですが、それはいまと24年前とでは技術に差がありすぎるから仕方ないとしても、この監督さんはやっぱりスピルバーグをすでに超えていると思うんです。

スピルバーグ作品は確かに面白いけど「天才」と感じたことってあまりないんですね。でも、この映画では「何度もこの監督は天才だ」と思いました。


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コングと対峙するサミュエル・L・ジャクソンとを、このようなサイズ、このようなアングルで見せるこの監督はただ者ではありません。

しかも、彼らをカットバックさせるんですね。


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(何か光の加減がおかしすぎますね。別の場面かな。でもこれしか見当たらなかったので。汗)


巨大なキングコングと、猿顔で強面とはいえちっぽけな人間でしかないサミュエル・L・ジャクソンを超クロースアップでカットバックするという発想が素晴らしい。

『ジュラシック・パーク』で、ティラノサウルスとジェフ・ゴールドブラムのカットバックがあってもおかしくなかったのに、スピルバーグはそんなショットは撮りませんでした。

 そしてもう一度このショット。


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ここは部下を殺されたサミュエル・L・ジャクソンがコングに怒りをたぎらせ、コングはコングで「何じゃこいつ」と(このときはまだ救世主ではなく悪の帝王としての登場でしたから)すごい睨み合いになるんですが、この睨み合いは笑えますよね。あまりに体格差のある二つの生き物を同サイズのクロースアップでカットバックするんですから、もしかしたらサミュエル独りでコングを倒せるのかも…と思わせられます。

実際、クライマックスの戦闘シーンでは、コングを倒しかかったサミュエル・L・ジャクソンの手が武者震いするショットもあるんですけど、私はここでも笑いました。しかも、サミュエル大将は蠅のように叩き潰されてしまうんですね。ここでも大爆笑でした。

普通こういうショットは思いついても撮らないと思うんですよ。あまりにバカバカしすぎて。たぶん本気で笑わせようと思って撮ったわけじゃないと思うんですね。真剣に面白がらせよう、盛り上げようとして撮った結果として爆笑できてしまう。だから「天然ボケ」だと思う次第。

スピルバーグの映画って面白いけどあんまり笑えるシーンってないじゃないですか。若かったころに比べて最近はプッとくる場面があったりはしますが、所詮スピルバーグの笑いのセンスは「努力によって得たもの」にすぎないと思うんです。あの人はどこまでも映画に対して真面目なだけだから。

でも、このジョーダン・ヴォート・ロバーツ監督の笑いのセンスは生まれもった天性のもの。上のような睨み合いはこの監督さんが映画に対して真面目でありながらかなりの天然ボケであることを示しています。

天然ボケであることは尊いことです。ある種の天才ですから。

かつて黒澤明は亡くなる直前に「僕は清水宏監督のような喜劇を撮りたい撮りたいと思ってやってきたけど1本も撮れなかった」とこぼしていましたが、スピルバーグもこのジョーダン・ヴォート・ロバーツという天然新人監督にかなり嫉妬していると思われます。「俺が30年以上かかってできるようになったことをいきなり1本目でやりやがるとは…!!!」なぁんてね。

とにかく、続編もこの監督にとってほしい気持ちもありますが、他にもいろいろ撮ってほしいですね。できれば脚本の段階で笑いのある物語をね。アクション映画が好きで同時にコメディも大好きな私は切に願っています。