前回日記(→こちら)の続きです。

『王様のレストラン』全11話における「ヒーロー」は誰なのか、千石さんとばかり思っていたらそうじゃないことに気づいた、という内容でした。

何故に私が「ヒーロー」にこだわるかと申しますと、「主人公」が誰かわからないからなのです。

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群像劇だから主人公なんかいないんじゃないの? という声が聞こえてきそうですが、それも一理あります。もしかしたら本当に主人公はいないのかもしれません。

例えば私の場合、「これまで見たなかで一番好きな映画は?」と訊かれたら、最近はセルジオ・レオーネ監督の『ウエスタン』と答えることが多いんですが、あれも主人公が誰か判然としない映画です。

復讐に燃えるチャールズ・ブロンソンといえばそうなのかもしれません。が、悪漢ヘンリー・フォンダが主人公と考えても不自然ではありません。結婚式前に夫を殺されるクラウディア・カルディナーレが主人公という見方もできますし、フォンダを裏で操る資本家こそが主人公という見方さえできます。
そもそもチャールズ・ブロンソンがヘンリー・フォンダに復讐しようとしていたのは最後に明らかになるのだから、やはり普通の意味での「(復讐物語の)主人公」とはちょっと違います。

主人公は誰なのか。もしかしたらいないのかもしれないし全員が主人公なのかもしれませんが、いずれにしても、そこを読み解いていかないとこの大傑作ドラマがここまで面白い理由が見つかりません。見つかるかどうか確率は半々ですが、ともかくやってみましょう。

主人公は誰なのかを考える前に、ヒーローです。

え、主人公=ヒーローじゃないの? と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうとはかぎりません。

例えば、ダシール・ハメットの『血の収穫』ならヒーロー=問題を解決する者も主人公も探偵のコンチネンタル・オプですね。多くの探偵物語、刑事物語は主人公が問題を解決するから同時にヒーローでもあります。

ならば犯罪者が主人公の物語ならどうでしょうか。
例えば角川映画版『野獣死すべし』なら、問題を解決するのは刑事役の室田日出男ですが、主人公はアンチヒーローたる松田優作です。

つまり、「誰の視点から語られているか」が主人公を考える鍵になるのですが、その「語られている物語」を考えるときに大事なのは、物語の内容を神話的に読み解くことです。
ヒーローが誰で、どういう問題を解決するのか、解決するために立ち上がったヒーローに立ちはだかる「門番」は誰なのか、そして最終的に誰を倒すのか(悪漢=アンチヒーローは誰なのか)をまず考えないと「誰の視点で」ということが浮かび上がってきません。

まだおとといの第7話までしか再見できてないのでまだはっきりわかりません。(とはいえ、このドラマはほぼすべて内容を憶えているので記憶だけで読み解けないこともありませんが、やはり細かいところは忘れているので全部見直してからのほうがいいでしょう)

とはいえ、第7話まででわかってきたこともあるので、ひとまずそれから。

『王様のレストラン』が「三流以下だったフレンチレストランが一流になるまで」を描いていることは見解の一致するところでしょう。問題は一流にしたのは誰なのか、です。

第1話で千石さんのこういうセリフがありました。

「一流レストランに必要なのはシェフとギャルソン、そしてオーナーです」

シェフはしずかであり、ギャルソンは千石さん(とメートル梶原+コミ和田)、オーナーは禄郎。この3人(あるいは5人)がヒーローなのでしょうか?

ここで大胆な仮説。

私の見立てでは、ヒーローはオーナー禄郎です!!!(言い切ってしまった。本当にこれ合ってるんでしょうか?)

続き
③シェフしずかは「ヒーロー」ではないのか
④ディレクトール範朝から千石さんへと至る道
⑤アンチヒーロー千石武
⑥最低だが素晴らしい!
番外編 オーディオコメンタリーが面白い!