前節、ホームでのラージョ・バジェカーノ戦は結果だけ見れば10-2の大勝でしたけど、内容は恥の上塗りもいいところと言いたくなるぐらいにひどい試合でした。

ラージョの一人目の退場は仕方ないと思いますよ。審判によってはイエローで済ませる場合もありましょうが、足の裏を見せて完全に足首狙ってましたから。あれは危険。でも二人目の退場はもう完全にレアル贔屓の判定。その前にセルヒオ・ラモスがエリア内でハンドを犯したにもかかわらずお咎めなしだったのに。ラージョが9人での戦いを強いられたときスコアは1-2でしたが、あのハンドを取っていれば1-3だった。

で、9人になったらいくら何でも個々の能力の高いレアル攻撃陣を止められるはずもなく、そこから9失点。それでもラージョのパコ・ヘメス監督は「ひざまずかなかった選手たちを誇りに思う」と発言。さらに「あのようなバカげた判定はうちのチームだけでなくレアル・マドリードにとっても、スペインサッカー全体にとってもよくない」と言って罰金を科せられました。何ともはや。あまりに馬鹿げています。

見てるこちらも10点も入れば普通ならお祭り騒ぎなのに、どうにも釈然としない。何だか恥ずかしい。本当なら大敗しておかしくないチームが逆に大勝してしまった。穴があったら入りたい。

と、地球の裏側でこっそり応援する人間ですらそう思うのだから、実際あのピッチに立っていた選手たちはもっとそれを痛感していたのでしょう。

今日も、疑惑の判定がありました。エリア内でベンゼマを後ろから倒したとPKの判定。確かに倒してはいるけどあれでPKではないですよね、普通なら。しかも、その直前、ペペが自陣エリア内でハンドを犯していたのにまたもお咎めなし。もう完全に審判を買収していると言われてもおかしくない。

で、そのPKをクリスティアーノ・ロナウドがわざと外したんですよ。そしてPKを外したのにホームのサポーターは大喝采。実況アナや解説の北澤は「変な事態ですね」としらっと言ってたけど、内心は「なるほど、わざと外したか。そう来たか」と思っていたはずです。

だってロナウドがあんな外し方するわけないですもの。いつもはあんな高く浮くボール蹴らないし、何しろボールスピードが遅すぎます。あれは絶対にわざと。またも審判に助けられて勝利なんてことになったら恥の上塗りのさらに上塗り。それだけは避けたかったのでしょう。私も外れた瞬間ホッとしましたもんね。そして拍手するサポーターの気持ちもよくわかりました。

完全に選手たちが見限ったベニテス監督を解任してもらうには試合に負けるのが最も近道。とはいえ、そんなことをしたらタイトルが遠のく。勝ちたい。ベニテスの首はすげ替えてほしいけど、その前に俺たちはやっぱり勝ちたい。

それなら勝とうじゃないのさ。勝ってやろうじゃないの。でも審判に助けられて勝つのは二度といや。

というわけで、前半の終盤、ベイルのクロスが相手DFの手に当たってまたもPK。でも、このPKは俺たちの実力で勝ち取ったPK。だから絶対決めると、ロナウドはいつものボールスピードでネットに突き刺しました。キーパーがコースを読んでるのにセーブできないのだから、いかに1本目のPKが緩かったか、つまりわざと外したかどうかがわかるというものです。

先制はしたけど勝てるのかな、と懐疑的でしたが、案の定、後半開始早々にあまりに緩い守備からゴールを許してしまいます。クロースの脇にスペース空きすぎてるってずっと言われてるのに何で修正しないんだろう。
ダブルボランチと両サイドハーフでしっかり中盤を支配する4-2-3-1のほうがいいんじゃないの? そのほうがハメスも生きてくると思うし。

こうなったら負けろ、負けろ。負けたほうが監督交代の口実ができていいや。
しかも、ベニテスはヘセ、ルカス・バスケス、イスコといった攻撃のカードがあるにもかかわらず、ハメスを下げてコバチッチを入れるという不可思議采配。そりゃ勝てませんよ、そんな弱腰な采配してたら。

ところが、今日のレアルは最近のレアルとは一味違いました。

珍しくマルセロが蹴ったコーナーキックをロナウドが後ろに下がりながらボレーで決めちゃったんですよね。

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あれはすごかった。久しぶりに見たウルトラゴラッソ!!! 

その後、ベニテスの采配は、ベンゼマに代えてルカス・バスケス投入。FW同士の交代というのはわからなくないんですが、ルカスを右サイドハーフ、コバチッチを左サイドハーフに据えた4-4-2にするというのがわからないんです。コバチッチってボランチでしょう? ロナウドを2トップの一角に据えるのなら、そういうときこそ左サイドが主戦場のチェリシェフを使うべきだと思ったら監督判断で招集外と。うーん。

しかし、右サイドで最近生き生きしているルカスがベイルからの素晴らしいクロスをピタッと止めてゴールに突き刺すという、この日初めて流れのなかで取った得点。お見事。

何だか「監督がアホでも俺たちだけの力で勝ってみせる!」という意気込みを感じた試合でした。そりゃまぁ、ソシエダのアギレチェやカナーレスが怪我しなかったら負けてたかもしれませんがね。

決してベニテスの力で勝ったわけではないこの試合、すでにソシオのみなさんに次期監督は誰がいいかというアンケートを取っているらしく、もう既定路線でしょう。ペペが「監督交代は間違っている」と優等生発言をしたらしいですが、そんなの嘘八百に決まっています。

何しろ選手との間に溝ができたのは、試合中に自チームの選手を小声で口汚く罵っていたのをベンチにいた地獄耳の選手(誰だろう?)が聞きとがめたのが発端らしいですから。もう関係修復は不可能じゃないでしょうか。

問題は、時機と理由(口実)ですよね。

負けるのが一番いいんですが、それはもう許されない。審判の助けを借りて勝つなんてもういやだ。となると、残された道は「監督の采配ミスを選手がカバーして勝つ」試合を積み重ねること、と選手たちは話し合いで決めたものと見受けられます。

ちょっと前に毎年行われる選手だけの決起集会が開かれたとのことですが、今日の試合を見るかぎり、そういう結論に至ったんじゃないかと。

だからロナウドのゴラッソにはしびれたんですよね。ハメスが替えられたあとだっただけによけいに。



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