久しぶりに見ましたよ。長谷川和彦監督の伝説的傑作『太陽を盗んだ男』!!


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沢田研二を原爆製造犯、菅原文太を刑事に配したサスペンス・アクションの大傑作です。

『気狂いピエロ』で特別出演したサミュエル・フラーが、主役のジャン・ポール・ベルモンドに「映画って何なんだ」と問われて、「愛、憎しみ、アクション、暴力、死。つまり感動だ」と答える名シーンがありますが、この映画はまさにそれですね。原爆を作って脅迫するというサスペンスフルな物語なのに、やたら笑えるシーンがあったり、もうごった煮状態。

見ながら、遠き日にゴジ監督から直接聞いた話を思い出しました。

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左が長谷川和彦監督。通称ゴジさん。こんなことを言ってましたっけ。

「レナード・シュレーダーから『何でもない若者が原爆作ってプロ野球最後まで見せろって話』と提案されて、すぐ乗ったんだよ。なぜかって? だって実にバカバカいじゃないか」

「でもその若者が何をしている人間なのかがわからなかった。つまり職業。原爆作ったものの何を要求していいかわからない、そんな奴が生業にしているものって何だと」


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「原爆をどうやって作るか調べていくと、どうしても被爆の可能性があることがわかった。加害者も被害者。というか、こいつは東京中の人間が死んでもいいのかって脅すんだけど、実は自分が死にたいだけなんじゃないか。あ、そうか、こいつ死にたいんだ。そこでこの男がグッと自分のほうに引きつけられた気がしたね」

「だって生まれてくることは選べないけど死ぬことは選べるじゃないか。俺はずっとそう思って生きている」


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「高校の頃、生徒会長をやってたんだが、担任の教師から『おい長谷川、お前将来何やりたいんだ』と訊かれて『映画を作りたい』と答えたら『そうか。俺は人間作ってるんだ』と言いやがってよ。あんまり好きな先公じゃなかったけど、あ、そういうふうに考えて教師やってんだって何だか妙に記憶に残っててな。で、あの先公、もしかしてものすごく孤独だったんじゃないかとふと思ったんだよ。この主人公も孤独な奴だ。じゃあ教師にしようって。それまでに2年もかかったんだぜ」


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「黒沢清は刑事を主人公にしたがるが、それはできるだけしないほうがいいっていつも言ってるんだ。でもあいつほんとに刑事が好きなんだよ。刑事がダメな理由? 刑事は仕事として事件に関わるだけから。何かもっと個人的な感情で動かないとドラマが熱く煮えたぎらないと思うんだ。主人公を刑事にするのは話を作るには簡単だけど、簡単だけにつまらない。この映画だって、もし文太刑事を主人公にして原爆作った悪い奴をやっつける話だったらつまらなかったと思うよ」

ゴジ監督、最新作いつまでも待ってますよ!


太陽を盗んだ男 [DVD]
沢田研二
ショウゲート
2006-06-23



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