あの「映画芸術」が休刊するかもしれないとのニュースを見て、えっ!? という驚きと、やっぱり、という思いが交錯しました。

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荒井晴彦編集長による映芸は、良くも悪くも「偏り」があって私は好きなんですがね。

『おくりびと』がワーストワンに選ばれたとき、「よくぞ!」と大賛意を示したもんですが、ネットでは「アカデミー賞を受賞した作品をワーストに選ぶなんて国辱雑誌だ」とかえらく非難されてました。アメリカ人はアホだからあの映画が駄作だってことがわからないんですよ。といくら言ってもその人たちには届かない。

映芸に携わっている方々も、そういう隔靴掻痒な思いを抱いてらっしゃるんじゃないでしょうか。

確かに、なぜベストテンもワーストテンも日本映画だけに限ってるのかよくわかりませんけどね。日本映画とか外国映画とかじゃなくて、ただ「映画」があるだけなのに。

あとは、編集長が批判したい映画の特集では、ほめそうな人には執筆を依頼しないのもどうかと。

しかしながら、やっぱり映芸の休刊は淋しいニュースです。(ほんとに休刊するかどうかはわかりませんが前々から財政難と聞いていたので十中八九休刊、そして廃刊なのでしょう)

そりゃ、映画秘宝なんかも楽しいけど、やっぱり両方ないとね。キネ旬は業界誌だから御用記事ばかりだし。

そういえば、いま話題沸騰の五輪エンブレム問題と『おくりびと』のときの国辱扱いされた問題は根っこが一緒のような気がしますね。

あれって、ベルギーの劇場が本気で訴えてるのがかなり大きいんじゃないでしょうか。「特に問題はない」とかって言ってたら、そして、この問題に関してベルギー以外の国(特にアメリカ)から「別にいいんじゃない?」という声があったなら、こんなにネットで叩きまくる輩も出てこなかったんじゃないでしょうか。

外国人が言うことを鵜呑みにするのが日本人の一番悪い癖。

そういえば、「ツイッターは思想濃縮装置だ」と言ってる人がいて、自分と同じ考えをもってる人ばかりをフォローしてると偏りが固まってしまって柔軟な視点を見失ってしまうそうです。

映芸も「政治的な偏りはあって当然」という考え方自体は正しいと思うのだけれど、もしかしたら、そういう「正論」に自らの足元をすくわれてしまい、読者を失っていったのかなぁ、という気もします。

ま、私もツイッターで似た考えの人しかフォローしてないから偉そうなことは言えませんが。(だって、反対側の意見を読んでると気分が荒んでくるんですよ。それでも読まなきゃいけない? うーむ



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