先週はお休みだった『民王』の第3章「政敵」を見ました。

無題
うん、前回はちょっと肩透かしを食らっちゃうくらいつまらなかったけど、今回は面白かった。まさか、という展開に。

今回のキーワードは「義理と人情」。

ちょっと前の日記で「義理と人情の任侠映画は古いのか?」と題したものを書きましたけど、いや、やっぱり義理と人情は永遠に不滅ですよ!

体が入れ替わってしまった総理(座右の銘は「政治は義理と人情」)とそのバカ息子。何と二人とも奥歯にチップが埋め込まれており、何者かが遠隔操作で二人の脳内をいじっているらしいことがわかったのが前回のラストでした。

総理は、政敵である蔵本(草刈正雄)という野党代表が犯人だろうと決めつけます。蔵本は警察官僚上がりだから公安を動かせる、だからよけいに怪しいというわけですが、フィクションにおいてこういう推測は必ず外れるんですよね。だって当たったら面白くないから。

さて、その政敵・蔵本とのテレビ討論において、こっちも遠隔操作してやろうじゃないかとばかり、総理が息子のイヤホンにどう答弁すべきかすべて教えてやるからおまえはその通り話せばいい、と指示する。でもフィクションにおいてはこういう目論見は必ず失敗するんですよね。だって成功したら面白くないから。

案の定、総理秘書のパソコンがフリーズしたかと思えば、バカ息子はイヤホンを外してしまう。そこへ蔵本の質問、「総理、あなたは東京都の最低賃金がいくらかご存じですか?」と。

続けざまに「あなたはそのイヤホンで秘書に答弁を教えてもらわないと何も答えられないんじゃないんですか?」と攻めてくる。万事休すか!?

しかし、バカ息子は最低賃金を知っていたのです。しかも、この時代の若者の貧困が具体的にどんなものか蔵本に質問します。

「最低賃金で1日8時間、月25日働いて給料はいくらだと思います? そこから家賃、光熱費、学費を引いた1日の生活費はいくらだと思いますか。774円です。もし風邪を引いても病院にさえ行けないんですよ。そのまま休みがちになったら給料が減るうえクビになる。そして大学を辞めざるをえなくなるんです」

おそらくバカ息子の周りにそういう若者が一人はいたのでしょう。こういう感覚は永田町界隈だけで生活していたのでは絶対わからない。

さらにバカ息子はこう続けます。

「もう足の引っ張り合いはやめませんか。みんなで力を合わせて弱い人を助けましょうよ。泣いてる人を笑顔にしましょう。夢をもった若者を応援していきましょう。だって政治は義理と人情ですから」

そうなんですよ。義理と人情が一番大事。だから任侠映画はもう古いんじゃないかとの言葉は撤回します。いまこそ任侠の精神が必要な時代なのです。

ドラマは拍手喝采ののち内閣支持率は急上昇で終わりかと思ったら、知英演じるバカ息子の同級生が総理に色仕掛けで迫ってくるんですよね。肉食系の総理は鼻血出しながら感激するんですが、何と、その女子大生、実は政敵・蔵本だったのです!

蔵本と知英の体が入れ替わってしまったのでした。何という衝撃の展開。

なるほど、だから本仮屋ユイカと知英というあまり意味のなさそうな配役が必要だったんですね。大納得。

ここから先はまったく予測不能。次回からも括目して見よう。

いやぁ~、『民王』って、ほんっとに素晴らしいですね!!





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