昨日の『怪奇大作戦』は大名作「かまいたち」でした。

この作品は、人間のまわりを瞬時に真空状態にして、まるで鎌鼬に切られたかのように一人の人間が寸断される連続殺人事件をSRIが追うというもの。

例によって、トリックとかそういうことよりも「人間」や「時代」に重きを置いた脚本です。

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何しろ、犯人には動機らしきものがない。あるんでしょうけど誰にもわからない。おそらく本人にもわかっていない。

そこが恐ろしい。

動機なき殺人という言葉が人口に膾炙して久しいですが、私が生まれる前からこういう恐怖は日本人みなが共有していたんですね。

上の画像はその動機なき殺人を犯した「ごく普通のおとなしい若者」の瞳です。

この茫洋とした目は、そういう事件を犯したと知って見るとそう見えるし、何かを決意した目だと聞いてみればそう見えるし。

クレショフ効果というやつですね。


岸田森演じる牧は犯行現場でうろついていたこの男の「あまりに普通な容貌」に逆に怪しいと思う。なぜそう思うのかは牧本人にすらわからない。

おそらく「本能」でしょうね。SRIという特殊部隊の人間としての本能じゃなくて、純粋に一人の人間としての本能。怪しくなさそうだから逆に怪しいという。説明はできない。頭では理解できないが体が叫んでいる。

この若者自身もなぜ自分が人間をバラバラにする犯行に及んだのかまったく説明できないでしょう。説明できないからこそ彼は真犯人なのです。

わからないがゆえにわかる。わかるがゆえにわからない。

人間心理の本質を衝いた大傑作ですね。若者を演じた俳優さんのキャスティングも素晴らしいの一語!