もう結構旧聞に属することかもしれませんが、文科省が人文科学など文系の学問は実社会に出てから役に立たないからとかいう理由で学部ごと廃止すると言いだして問題になりましたが、これはまことに愚かなことです。


ogimama

尾木ママは、「一番役に立つ学問は哲学、倫理だ。文系の学問こそ役に立つ」と言ってますが、そういうふうに反論するのは敵の土俵で戦うことになってしまって良くないと思います。

「将来役に立つ」かどうかで学問を評定することが愚かなのです。

とはいえ、「役に立たないことこそが人生を豊かにするのだ、無駄なことが大事なのだ」という言説も、結局は学問を役にたつかどうかで評定しているという意味では文科省の政治家・官僚たちと同列でしょう。

私はまず「役に立つ」より「将来」のほうに大きな問題があると思うのですよね。

例えば、中学生なんかが「数学なんて勉強したって将来役に立たない」と言う。確かに一理あるかもしれません。しかしながら、十年後、二十年後の自分が数学と縁のない仕事に就いてるかどうかなんて、なぜ「いま」の時点でわかるのでしょうか。

いま役に立っていないものは将来も同じように役に立っていないはずだ、という前提で彼らは文句を言っていますが、それは論理的に誤ってますよね。誰も将来の自分がどうなってるかなんてわからない。未来を見通せる人間はいません。

「将来役に立つ」とか「将来役に立たない」とかいう言説はすべて「未来を見通すことができる」という神を畏れぬ傲慢な精神から発しているのです。

もっと謙虚にならなければ。将来自分がどうなっているかわからない。だから、いま必要と思われるものだけでなく、こんなの不必要としか思えないものもきちんと学ぶ。

本来そういうことを教えるのが「学校」であり、「学問」の礎だと思うのですが…。