聳え立つ地平線

ありえないものを発見すること、それを写し撮ること、そしてきちんと見せること。

第23節 レアル5-2ソシエダ(ロナウドが心配)

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CLパリ・サンジェルマン戦を控え、若干メンバーを入れ替えて臨んだソシエダ戦で圧巻のゴールショーを見せてくれたので、とりあえずは安心しました。

攻撃の素晴らしさは言うに及ばずなので省略します。
相変わらず守備の甘さが見えるというのも、前半で4-0だったらいつもこのチームは油断して失点するからそれについても何も言う気はありません。

むしろ攻撃の問題点を指摘したい。

ベンゼマがまた外しまくってましたが、彼については別に思うところはありません。最後のはいくら何でも決めてほしいと思ったけれど、結構ベイルのクロスが強いうえに足元深く入ってしかもバウンドしてたからしょうがないと言えばしょうがない。前半ポストに当てたのだってシュートコースほとんどなかったでしょ。もうちょっと貪欲になってほしいと、技術的なことより精神面は心配ですが。ライバルがいないからでしょう。

それよりも私はハットトリックのクリスティアーノ・ロナウドの不調ぶりが心配なのです。

今日決めた3点のうち、コーナーからのヘディングはなかなか難しいシュートだったと思いますが、あとの2点は彼でなくとも決められる簡単な得点でしたよね。

それより、2回のビッグチャンスを外したことのほうが気になるんですよ。

前半のモドリッチからの素晴らしいスルーパスを受けた場面。
あそこで絶好調の彼なら決めてますよね。少なくともシュート打ってますよね。でも打てず、キーパーを交わしてパスを出そうとして失敗。

もうひとつは、後半のクロースのフリーキックがドンピシャ合ったのに外してしまった。あれを外す? ロナウドが? ありえない。

今季初のハットトリックということで長いトンネルからようやく抜け出ようとしている感じではありますが、まだまだ彼は好調と言うには程遠いレベルだと思います。

あとパリ戦の懸念事項は右サイドバックですね。
ナチョを使ってくれると信じていますが、ジダンは結構アクラフを買っているようなので心配です。ナチョ君は今季大活躍だし、昨季だって縁の下の力持ちとして陰のMVPでしたから絶対ナチョを使ってほしい。

ジダンお願い。パリに勝って!!!


キャンディーズの隠れた名曲『あなたのイエスタデイ』

先日の『春一番』に続くキャンディーズ第2弾。

『春一番』はね、やはりこないだみたいに寝込んだときに気合いを入れるのに最も適しているわけですが、今回ご紹介する『あなたのイエスタデイ』は元気だけど何だかちょっぴりしんみりしたい、なんてときにうってつけの名曲です。

名曲といっても、『やさしい悪魔』のB面の歌だったらしいので、知らない人もたくさんいるでしょう。だから「隠れた名曲」なのです。ちなみに、作曲は吉田拓郎です。




≪歌詞≫
春だというのに私には
心のコートが脱げません
菜の花畑を吹き来る風は
あなたの窓にも届くでしょうか
いまでもあなたの口笛は
ビートルズから変わりませんか
心許した郵便受けに
手紙も来なくなったから
恋も乾いたころだから
イエスタデイでも歌いましょうか

小さなわがまま言い合って
いつしか夕陽が落ちてった
いまでもあなたの二階の部屋は
銀色電車が見えるでしょうか
楽しい季節の終わりには
決まって寒い風が吹きます
いつか見なれたイニシャル入りの
手紙も来なくなったから
恋も乾いたころだから
イエスタデイでも歌いましょうか
イエスタデイでも歌いましょうか



『スリー・ビルボード』(登場人物の行動原理がわからない)

私はかつてある高名な脚本家から、

「君の脚本は意外性を求めすぎている。もっとオーソドックスに構えたほうがいい」

と叱られたことがあります。


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アカデミー賞レースを賑わせている『スリー・ビルボード』を見てきました。
何しろ監督賞にノミネートされている『ダンケルク』や『レディ・バード』より受賞の可能性が高いというのですから、そういう意味でも楽しみな映画でした。

しかし・・・

結局、この映画って何が言いたいんだろう? 作者の真意がわからない映画でした。というか、昔の自分の脚本を読んでいるような気恥しさがありました。(以下ネタバレあります)

最初の10分ぐらいはグッと乗ったんですよ。

まず最初の、主人公ミルドレットが3枚の看板を見つけるシーンがただならぬ雰囲気を醸し出していて心を鷲づかみにされました。そしてこのシーン。



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ミルドレットは、レイプのうえ殺された娘の事件の捜査がまったく進展しないことに業を煮やし、町の大きな看板3枚に文句を並べたてます。「レイプされ殺された」「逮捕はまだ」「なぜだ、ウィロビー署長」と。

そのウィロビー署長は末期がんに冒されており、ミルドレットもそれは知っています。「知ってて実名を出して広告を出したのか」とウィロビーはじっとミルドレットの横顔を見つめます。ここまでがおよそ10分ぐらいですが、傑作を予感させる出だしだったんですよね。

何がいいと言って、「悪人」が出てこなさそうだったので。ミルドレットにはミルドレットなりの言い分があり、ウィロビーはじめ警察には警察の言い分がある。どちらの気持ちもわかる。ウィロビーを末期がん患者と知っていながら「死んでから広告出しても意味ないでしょ」と少しも悪びれないミルドレットの気持ちもわかるし、「知ってて広告を出したのか」というような表情を見せるウィロビーにも、目撃者もいないし何の手がかりもない、サボっているわけではない、という彼なりの言い分があります。

つまり、「善と悪」の対立ではなく、「善と善」の対立になっていると感じたわけです。

それが・・・



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ウィロビーの部下にディクスンという差別主義者の警官がいるんですが、彼が出てきてからだんだんおかしくなる一方でした。

彼は別に犯人隠匿しているわけでもないのに警察を非難されたというだけでミルドレットを目の敵にしますが、彼の登場によって「善と善」の対立が「善と悪」の対立に変わってしまいました。

いや、もっといえば、「悪と悪」でしょうか。

ミルドレットは看板に放火されたことを恨んで警察署に放火し返します。が、この行動はあまりに常軌を逸していないでしょうか。あの時点ですでに看板に広告を出した効果は充分あるんだから、あそこまで激怒する理由がわからない。

それに何より、ミルドレットが犯人や警察にだけ憎しみを燃やしているのが少しも理解できません。

一度だけある回想シーン。おそらく娘が殺される日の朝なのでしょうが、ミルドレットと娘は喧嘩して、「レイプされたって知らないから」と怒って出ていく娘に対しミルドレットは「レイプされたらいいわ」と吐き捨てます。それが最期の別れとなってしまった。ミルドレットには自責の念もあるはずなのに、少しも自分を責めません。あの回想シーンを挿入するからには、警察も責めたいが一番責められるべきは自分自身じゃないのか、という葛藤を描かないといけなかったはず。なのに警察ばかりを攻撃するモンスターになってしまっています。

ウィロビー署長も、突然自殺する展開には驚愕しましたが、いくら末期がんといっても、町を守る警察官としてちょっと無責任すぎませんかね。遺書に書かれていた妻子への想いは理解できます。しかし、彼には父や夫としてだけでなく、警察署長という大切な務めもあるのだから、ちゃんと仕事を引き継いでから死ねばよかったんじゃないですかね。ウィロビーもミルドレットもいったいどういう行動原理で動いているの少しもわからない。

そして極めつけは先述のディクスンです。
彼は、ウィロビーが自殺したことを恨んで広告屋を屋根から突き落とします。その気持ちはわかります。が、新署長にクビと言われて潔く引き下がるのは少しも彼らしくありません。しかも彼はミルドレットの放火によって大やけどを負ったのに、心を入れ替えて真犯人究明に乗り出します。

え、何で???

ミルドレットのせいで死にかけたのだから、いくら「こいつらが犯人では?」と思える会話が聞こえてきたって、前半の彼の行動原理からしたら「奴らが犯人だな。あの女には教えないでおこう」とほくそ笑むんじゃないんでしょうかね?

さらには、彼らは犯人ではなく、戦地でいろいろあったものの軍人のため守られていることがわかります。おそらく中東でレイプなど悪行の限りを尽くしてきたのでしょう。ディクスンはミルドレットに電話を掛けて、一緒にアイダホまで彼らを殺しに行くところで終わります。

「ほんとに殺すのか」「道々考えましょ」というセリフからはどこまで本気か推し量りかねますが、アイダホまで実際に行こうとするのがまったくわからない。

ミルドレットはいったい何がしたいんでしょう? 罪悪感を感じながらも警察への敵意しか見せず、最後は犯人じゃない男たちを殺しに行く。いくらレイプ魔には違いないといっても、それは「理屈」じゃないですか?

この監督はやはり「意外性」に取りつかれすぎだと思います。意外性を優先させるから人物の行動原理が歪みまくってしまっているのです。

こんな映画より『デトロイト』のほうが傑作なのに。アカデミー賞ってほんとわからない。

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