2016年08月15日

毎週楽しみな『HOPE ~期待ゼロの新入社員~』ですが、昨日の第5話は第1話に匹敵するほどの面白さでした。

前回までの記事
第1話(初回からボロ泣き!)
第2話(岡目八目がとりもつ自信喪失と自信過剰)
第3話(「善と善」の対立がドラマを豊かにする)
第4話(勝負に出たが勝者はいない)

いつものことではありますが、今回はメインプロットと2つのサブプロットが絶妙に絡みあっていました。

プロットA(メインプロット)
営業部で企画コンペ(っていうんですか? 私は普通の会社に勤めたことがないからよくわからんのですが)をすることになり、営業1課は忙しすぎるということで2課と3課の一騎打ち。さて、どちらの企画が通るか。

プロットB(サブプロット①)
第3話の一件が原因で主任から嫌がらせを受けている資源2課の山本美月が、鉄面皮の財務部長がどうしても首を縦に振らない案件の手直しを命じられ、はたしてそれを完遂できるか。

プロットC(サブプロット②)
前回で転職を考え始めた鉄鋼2課の瀬戸康史のエリートゆえの右往左往。


もちろん、遠藤憲一課長率いる我らが営業3課の行く末が一番気になるところではあります。特に今回は遠藤課長の家庭での朝から始まり、やけ酒を飲んで帰宅したところで終わりますから、全体の主人公は遠藤課長と言っても過言ではありません。15年前の一件が原因で仲がこじれている風間杜夫専務の鶴の一声でせっかくのいい企画を他の部署に奪われるわけですし。あの悲しさ、切なさは、我らが主人公・中島裕翔のナレーションでもあったように「無力だ。慰めの言葉も見つからない」としか言いようのないものでした。

とはいえ、今回、それ以上に存在感があったのは瀬戸康史ですね。


CpycOO6UsAA1ngl

自分はエリートで企画とかそういう面白い仕事を任されてしかるべきなのに事務作業ばかりさせられる。それを愚痴ろうと山本美月を誘って二人で飲んでたんですが、ここに中島裕翔と人見くんが来て4人同席になってしまう。せっかく好きな女と二人きりだったのに。

でも、見てるこちらは痛快なんですよね。鼻持ちならないエリート意識の持ち主が我らがヒロイン山本美月を独り占めするなどご法度なんだよ! と。

しかも、彼は面倒なことに首を突っ込むなと再三再四言っていたのに、首を突っ込んだ中島裕翔はもう遠藤課長らと一緒に企画に携わっている。いまだに昼の買い出しに行かされている山本美月だって、先輩からの嫌がらせ仕事をまっとうしようと必死になっている。少しも必死になれない自分に嫌気が差しているけれど、エリート意識が邪魔して身動きが取れない。


Cp0UY67UsAQbQ9P

休憩室で一人黙々と企画書の直しをしている山本美月に遠藤課長がふとある一言を言ったためにそれが突破口になったり、遠藤課長自身がつぶやいた独り言がきっかけでそれが営業3課の突破口になったり、あのへんは何か安物の芝居を見てるみたいでちょっと白けましたが、話を進めるためにはしょうがないことだったのでしょう。

それより、瀬戸康史の「変化」のほうが気になります。

残業する山本美月のために高そうなスイーツを買ってきて一緒に食べようと来てみたら、彼女は中島裕翔と一緒にコーヒーを飲んで語らっている。そしておそらく二人は両想い。

ここで瀬戸康史が苛立って逃げるように帰るのかと思ったんですよね。

それが意外なことに、「これ、二人で食べてよ。お腹へってるだろうと思って」とか何とか言って帰るんですね。このウソが切ない。というか、エリート意識に凝り固まっている彼にもぎりぎりの人間性というか男としての意地があったのかと、うれしくなりました。

誰しもありますよね。ここはウソをつくしかない。だけどそのウソに気づいているのは神様だけだ。というような経験。

もしかすると、私たちが映画やテレビドラマを見るのは、「神の視座」を手に入れられるからではないか、なんてことも思いました。

それはともかく、あのセリフでちょっとだけ瀬戸康史のファンになっちゃうんですね。

だから、その次の飲み会の場面で、中島裕翔に向かって「君は無神経すぎる。君のせいで香月さん(山本美月)は苦しんでるんじゃないか」と言って蹴るように席を立って帰ってしまうんですが、あそこで中島裕翔は「もしかしたらそうかも」とハッと気づくんですね。彼に感情移入している私たちもハッとなる。

あの切ないウソがなかったら、「何を負け惜しみ言ってるんだ」と見てるこちらはますます瀬戸康史のことを嫌いになってしまっていたところですが、あのウソがあるから、彼の言い分にも理があることになり、私が前々から言っている「善と善の対立」が生じています。

しかし、だからといって、彼が鼻持ちならないエリート意識の持ち主であることはそう簡単には変わりません。20年以上エリート候補生として生きてきたのだから変われるはずもない。だから以下のような場面が生まれます。


hqdefault

「なぜ事務作業しかさせてくれないのか」と主任を問い詰めるんですが、ここでの主任の言い分には当然の理があり、それが少しも理解できない瀬戸康史は哀れな負け犬に見えます。

しかし、負け犬は負け犬でも「哀れな負け犬」に見えるところがポイントでしょう。前回までの彼なら、もしこういう場面があれば見てるこちらは大笑いしたはずなんですよね。でも、あの切ないウソがあるから、みじめな彼を見てもそうは喜べない。それより「これからどうするんだろう」と心配になってくる。

とてもうまい作劇だと思いました。

遠藤課長以下、営業3課の悲しみにも呆然となるほかありませんでしたが、今回は瀬戸康史の哀しみにより心を砕かれた気がします。

はたして彼は転職するのか。それともあの会社で地道に頑張っていくのか。それとも第3の道が?

営業3課の行く末とともに目が離せません。

(囲碁が絡んでこなかったのが今回の残念ポイントです)


続き
第6話(「資格」をめぐる物語だった!)
第7話(「しっかりやれよ」いこめられた様々な想い)
第8話(結局「善と悪」の対立で終わるのか)
最終話(この物わかりのよさを断固拒否する!)





  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2016年08月14日

私が脚本家を目指していたことはすでにお話しましたが、実は、6月半ばに東京のある製作会社からメールが来ましてね。

「低予算ホラー映画の企画を出してほしい」と。

驚きました。

最初は誰かのいたずらかと思ったんですよね。ぜんぜん聞いたことのない会社だし。

でもま、騙されたと思って返信してみたら電話がかかってきて、ほんとに企画を出してほしいというからたまげました。

で、渾身の企画書を2つ出した結果、他の人のものが採用されたために日の目は見ませんでしたが、採用されてれば脚本も書かせてもらえてたわけで、惜しいことをしたなぁ、と。でもま、しょうがありません。力が足りなかったのです。

その後、ほんの少し間をおいて東京の友人からメールがあり、15分の短編映画の脚本をお願いしたい、と。

おおお、捨てる神あれば拾う神ありとはこのことよ。

ただ、15分の脚本なんて書いたことないんで、短編の作法を身につけようといろいろ過去の名作を見直したんです。

ブニュエル『アンダルシアの犬』
クリス・マルケル『ラ・ジュテ』
トリュフォー『あこがれ』
フェリーニ『悪魔の首飾り』

ここまでは「何だかあまり参考にならんもんばかり見てるなぁ」という感じでしたが、今日「最後に」と思って見なおしたのがまさに真打ちでした。


1906e01e

アルベール・ラモリス監督『赤い風船』

いいですよねぇ。物語はいたってシンプルで、柔らかな詩情にあふれてて、色彩のスペクタクルもあって、まさに「映画」といった感じ。

しかし、その友人からは城定秀夫作品みたいのがいい、ああいう「生活エロ」を盛り込んでほしいみたいなこと言われてまして、それなら『赤い風船』みたいなのはダメですし、それにここには詳しく書けませんが、別に生活エロでなくてもいいから激情を孕んだ物語を、と要求されてまして、やはり『赤い風船』みたいなのではダメ。

なら何で見直したの? という声が聞こえてきそうですが、それは私が最近ブログで書いてる「ジャンル分けの罪」というやつでして、ジャンルで考えるのはダメなんですよ。

確かに、城定秀夫みたいなの、と要求されればそれに則したものでなきゃダメなんですけど、参考のために見るものが城定作品だけ、とか、生活エロを盛り込んだジャンルの短編を見なきゃいけないかというと、そうとはかぎらないんですよね。

そりゃそれでもいいんだけど、極端なことをいえば、ラブストーリーを書くにあたって男しか出てこない戦争映画が参考になることだってある。

ジャンルで考えてはいかんのです。
脚本の構造を学ぶためなんですから。人物配置の関係性の変化を学ぶためなんですから。

激情を孕んだ物語を要求されている以上、素朴きわまりない『赤い風船』と同じようなものは絶対ダメですが、『赤い風船』の脚本構造は充分まねしていいし、するべきでしょう。たった34分で見事な詩的世界を生み出しているところは見習わないといけません。

しかも、私に与えられた時間はたったの15分。……15分!?

『あこがれ』と『アンダルシアの犬』をもう一度見直さないといけないかもしれません。







  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2016年08月10日

チャンピオンズリーグを制した我がレアル・マドリードと、ヨーロッパリーグを制したセビージャが激突したUEFAスーパーカップ。
見事に勝ってくれましたねぇ。


56234bac

セビージャはホームでは無類の強さを誇りますが、今日はホームじゃないので(アウェーでもないけど)相手にならんだろうと高をくくっていました。

が、5時すぎに起きて、いまはスカパーが見られないのでUEFAのサイトでライブスコアを見たら、何と1-2で負けてるじゃないですか。

しかももう終了間際。ええーーー、マジで? 負けちゃうの? 負けたらクリスティアーノ・ロナウドもベイルもいなかったとか言い訳するんだろうか、それだけはやめてくれ。

と思っていたら、またやってくれました。セルヒオ・ラモス!

値千金のアディショナルタイムでのゴール!!!

延長に突入して、チャンスはレアルばかり。後半のルカス・バスケスの惜しいシュートをセルヒオ・リコにセーブされた、みたいな文言を読んだときは(英語なのでおぼろげにしかわからなかった)もうPK戦か、と思いましたよ。

しかし、CLの決勝もPK戦。でスーパーカップでもPK戦って、仮に優勝しても何か胸張れないなぁと思っていたら!

119分にカルバハルのゴール!!!!!

勝った。

ところが。


ユーチューブでダイジェストを見たら、確かに1点目のマルコ・アセンシオという若手選手の得点はゴラッソでしたが、セルヒオ・ラモスとカルバハルの劇的ゴールは、何だかセビージャのザル守備のほうに目が行ってしまいました。

ラモスのゴールはまぁよくある形といえばいえますが、カルバハルのゴールは何ですか。いくら疲れているとはいえ誰もあたりに行かず、簡単にシュート打たせてる。しかも、あれ、キーパーは防げるでしょ普通。スコアの動きだけ見てたときは独りで盛り上がってましたが、実際の映像を見てげんなりしました。

確かに勝ったことは勝ったけど、あんまり胸張れないなぁ。

2年前も相手はセビージャで、あのときのダイジェストを昨日公式サイトで見ましたけど、2点ともクリスティアーノ・ロナウドのファインゴールで(アシストはどちらもベイル)あれなら胸張れるんですが、今日のはちょっと…。

ただ、マルコ・アセンシオという選手は要注目ですね。こないだは何とかいう選手がものすごいミドルシュートを突き刺して市場価値が跳ね上がったそうですが、いまカンテラには生きのいい選手が多いみたい。だからヘセの移籍は残念なんですよね。

モラタが帰ってきたり、カルバハルも武者修行のあと帰ってきてレギュラーに定着した組で、最近は売ったらそれでおしまいではなくなってきたので喜ばしいとは思いますが、他のチームにいったん出て活躍してからでないとレギュラーになれないいまのシステムを何とかできませんかね。





  • このエントリーをはてなブックマークに追加