聳え立つ地平線

ありえないものを発見すること、それを写し撮ること、そしてきちんと見せること。

兵庫県立長田高等学校のリカちゃん人形

ちょっと前に実家に帰ったら、なぜか母校の兵庫県立長田高等学校同窓会の会報が私の名前あてで届いてまして。

驚愕!!!


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ちょっとこれを見てくださいよ。→長田高校100周年記念

何ゆえにリカちゃん人形???

記念すべき創立100周年事業がこんなんでいいのか!!!

しかも「オリジナル」とか称してますが、リカちゃん人形はタカラのオリジナルであって長田高校のオリジナルではない。(いまはトミー社と合併してタラカトミーというらしいが)

しかもですよ。上のリンク先には前のページがあって、それが→こちら

何と「オリジナル リカちゃん人形」とかいいながら、いろんな学校が記念事業としてこんな子供だましな人形をメーカーと結託して儲けようという目論見らしい。創立110周年とか60周年とか違いはあるけど。

しかし長田高校は中でも一番記念すべき「100周年」じゃないですか。恥ずかしくないのか!

ライバルの神戸高校や兵庫高校の100周年記念事業はどんなのだったか調べてみると、コミュニティホールを設立とか式典開催とかそういう地味だがごくごくまっとうなもので、リカちゃん人形なんて販売して喜んでるのは長田だけだぞ。そんなんでいいのか!

中内功や宮崎市長はどうでもいいし、宇垣美里も伊藤利尋もどうでもいいが、あの淀川長治さんを悲しませていいはずがない。

いまからでも遅くないからやめてケロ。



AI婚活に見る「プラセボ(偽薬)としてのAI」

今朝の『上田晋也のサタデージャーナル』で「AI婚活」が取り上げられていました。
主に「ビッグデータ」を活用するという主旨で、自分が狙っている女性がいろんな人に会いまくっているとか、そういう裏事情を勘案してAIがおすすめの相手を紹介するというもの。
しかし、いつだったか『ワールドビジネスサテライト』で紹介されたときはもう少し違う主旨でした。


WBS-AIkonkatsu (3)

AIが人間の盲点を突く
AIの紹介によってお見合いに至る確率が格段に上がるというのは同じですが、ビッグデータとかそういうことよりも「人間の盲点」をAIが突く、という感じの説明だった記憶があります。

数日前に「AIが車を運転する社会は永久にやってこないだろう」という主旨の日記を書きましたが(→こちら)それは現在のAIが「真の意味でのAI」ではなく、つまり「自律システム」ではなく「他律システム」だから、というものでした。AIはしょせん「コンピュータ」であり、コンピュータとはつまるところ「計算機」であり、計算機にできることは「四則演算」だけです。

AIは人間みたいに間違ったりしないから大丈夫、みたいなことを言う人がいますが、確かに間違わないけれど、それは「四則演算を間違わない」というだけの話です。

とはいえ、WBSで紹介されていたAI婚活はそこを逆手に取った戦略でした。


AIを使いこなす
つまり、人間は自律システムであるがゆえに自分の感覚をあてにしすぎる。しかも事は恋愛や結婚という「フィーリング」が何より重視される場ですから、よけいに理詰めで考えたりしない。

そこで、絶対に計算を間違わないAIに徹底して理詰めで考えてもらう。その末に紹介された相手は「もし自分だけで選んだらこの人は真っ先に落としていた」と思うような人が紹介される。そして実際に会ってみるととてもフィーリングが合って結婚に至る、と。

自律システムたる人間が自分たちの作った他律システムの権化たるAIをうまく活用していると思いました。

だから、これからの時代はAIをうまく使いこなすことが重要になると思われます。


「AIだから……」というプラセボ
しかしながら、水を差すようですが、お見合いに至る確率が格段に上がっているのは「プラセボ(偽薬)効果」の面のほうが大きいと思うんですよね。薬のような外見をしているけれど何ら薬効のない偽薬を飲んだだけで本当に症状がよくなるというアレ。


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去年でしたか、投了の局面から一手だけ戻し、投了したほうをAIがもって芸能人と対戦するという番組がありました。第一人者である羽生善治が解説をしていましたが、ポナンザがまったく意味不明の手を打つことがあって司会者が羽生に解説を求めると「いやぁ、よくわかりませんが、でもポナンザが指した手なので……」と言っていました。
20年ほど前、羽生が7冠を達成したころはいわゆる「羽生マジック」というやつにすべての棋士がきりきり舞いさせられ、プロ棋士ですら「いやぁちょっとよくわかりませんが、羽生さんが指した手なので……」と言っていたもんですが、その羽生がいまやAIに同じことを言う。隔世の感を禁じえませんが、おそらくAI婚活でお見合いする人も同様なんだろうと思います。

AIが薦めてるんだからとりあえず会ってみようか、と。機械は間違わないからすべてを機械に任せてしまえ、と考える人が増えているご時世ですから、「とりあえず会ってみれば」と他の人間から薦められてもおそらく会わないんでしょうね。AIが言うんだからピッタリの相手かもしれない、となる。実際に会うと何か違うと思う場面も多々あるのでしょうが、「AIが選んだ相手」という情報がプラセボ効果となって結婚に至る。

それは本当の意味で「自律システムである人間が他律システムにすぎないAIを使いこなしている」ことにはなりません。逆に、他律システムにすぎないAIに支配されている。

まぁでも、この場合はそれでいいんじゃないでしょうか。それで結婚できるなら。それで幸せになれるなら。幸福かどうかなんてしょせんは人間の錯覚にすぎませんから。そういえば「錯視こそ生物が自律システムたる所以」と『人工知能の哲学』という本に書いてありましたっけ。なるほど、そういうことか。

AIに仕事を奪われる人はたくさん出てくるでしょうが、AIには絶対にできないことはたくさんある。AIにできることは大いにやってもらい、できないことはもちろん人間がやる。そうやってうまく共存すればいいだけの話だと思います。

繰り返しますがAIは計算機にすぎません。電卓が発明されてもパソコンが発明されても人類はそれらを使いこなして文明を発達させてきたのだから、何も恐れることはありません。いままでと同じように自分たちの代わりに超高速の計算機として働いてもらえばいいのです。

ということをAI婚活のニュースを見て感じた次第。


許せない映画④『ゴーストドッグ』

①『ダーティハリー2』
②『L.A.コンフィデンシャル』
③『グレイテスト・ショーマン』

に続く「許せない映画」シリーズ第4弾はジム・ジャームッシュ監督『ゴースト・ドッグ』。

繰り返しますが、「許せない映画」とは、面白い映画なのに面白さを上回る「残念さ」をもってしまった映画のことです。だからいくら許せないといっても『ニュー・シネマ・パラダイス』みたいな単につまらない映画はこの範疇には入りません。

では、ヘンリー・シルヴァやクリフ・ゴーマンの登場がやたらうれしい『ゴースト・ドッグ』の何がそんなに残念だったかというと……




『葉隠』の思想にはまってしまった殺し屋という設定はとてもいいですね。まぁ私が「武士道とは死ぬことと見つけたり」という冒頭の一節にいまだにしびれまくっている、ということもあるのでしょうけど。

劇中、何度も『葉隠』の一節が出てきますが、それ自体はいいんですよ。そして静かに殺しを実行していくところもいいし、ライフルのスコープにアゲハチョウが止まって……という場面なんか詩情豊かじゃないですか。

許せないのは「主人公が『葉隠』の思想に殉じてしまうところ」です。


GhostDog

何だかんだの末に、忠義をもって使えてきた男を殺さねばならなくなる。しかし、忠義を重んじる『葉隠』はそのような行為を許していない。どこまでも主君に忠実たれと謳っている。

ということで、主人公は殺すのではなく殺されることを選ぶのですが、ここがもうとにかく許せない。

かつて自作脚本を長谷川和彦監督に読んでもらったとき、
「君はファーストシーンとラストシーンを思いついたときに『できた!』と思ってしまったんだな」
と指摘されてグウの音も出なかったことがあります。

『ゴースト・ドッグ』もまさにそれでしょう。
「葉隠の思想に心酔する殺し屋がその思想に殉じていく」という物語を思いついたとき、ジャームッシュはおそらく「できた!」と思ってしまったのだと推察します。

その思いつき自体は素晴らしいですが、いったん主人公が生き始めたら作者の思惑などどうでもよく、ただただその人物がどう動きたいか、あるいはどう動くのがふさわしいか、それだけで考えていかねばなりません。

主人公はいくら『葉隠』に書いていることがすべてだと最初は思っていたとしても、殺し屋として数々の仕事を遂行していくうちに「自分の哲学」を築いているはずなんですよね。だから『葉隠』の思想に心酔していた主人公が最後の最後で『葉隠』を脱却するところを見たかったのです。

なのに書物に書いてあることを絶対視して死んでいくなんて私にはただのアホにしか見えませんでした。別に『葉隠』を否定せよと言っているわけではありません。主人公の哲学は何かを見せてほしかった。もちろん映画なのだからアクション=行動としてその哲学を描写するということです。トリュフォーが「クライマックスとは意味のあるアクションでなければならない」と言ってましたよね。

そういえば長谷川和彦監督はこうも言っていました。

「君はたぶんシナリオとは物語のことだと思ってるんだろうが違うんだ。物語と哲学なんだよ」



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