2016年03月04日

『王様のレストラン』大解剖シリーズ。

①「ヒーロー」は千石さんではない!?
②ヒーローはオーナー禄郎である!
③シェフしずかはヒーローでないのか?

につづく第4弾です。

しずかがヒーローでないことが前回で明らかになりました。
千石さんもヒーローでないことを明らかにせねばならないというか、その前に、これまでまったく触れてこなかった重要人物、オーナー禄郎の兄でディレクトールである範朝の「ヒーローズ・ジャーニー=英雄の旅」を考えねばなりません。

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え? 範朝がヒーロー?

はい。
「ベル・エキップ」で最も嫌われている最大の問題児たるこの男もまた英雄の旅を歩んでいるのです。といっても、しずかなどと同じくプチ・ヒーローですけど。

第9話ではこの範朝が主人公でした。
運が悪かっただけの、ちょっと歯車が噛み合わなかっただけの、とてつもなく長い厄年が続いているだけの憎めない悪人、範朝が借金のかたに店の権利書を売り飛ばそうとしたことが店の全員に発覚します。

千石さんはもちろんのこと、従業員全員がクビにすべきだと息巻きます(しずかだけは違いますが)。

が、オーナーであり範朝の唯一の肉親、禄郎は不問に付そうとします。

「何でそういうことに…?」
「だから、根は悪い人じゃないから」

そうです、彼は何も考えておりません。「真心」を尽くしたといえば聞こえがいいですが、禄郎は何も考えずに発言する達人です。

もちろん、範朝が店に残る決心をするのは、禄郎に諭されたからではなく、こっそり逃げようとしていたところを千石さんに説得されるからです。

「範朝さん、自分を信じるんです。あなたが自身が信じてやれなくて、いったい誰が信じるんですか」

いいセリフです。心に染み入ります。

ここで範朝はとても大事な返しをします。

「不思議だなぁ。あんたと話してると親父を思い出すよ」

そうです。いままでまったく触れてきませんでしたが、「ベル・エキップ」という店は、禄郎と範朝の父であり、千石さんの親友だった先代オーナーシェフの店なのですね。

その先代の店を売り飛ばそうとしたんだから範朝はクビになって当たり前。

とは誰も言いません。千石さん自身も「私たちの努力の結晶を売り飛ばそうとした」という言い方をします。

千石さんが再び「ベル・エキップ」で働き始めたのはなぜでしょうか? 禄郎に説得されたからですね。禄郎はなぜ千石さんを? 当然、父親の親友であり伝説のギャルソンと言われた男を参謀としたほうがうまく行くとの確信があったからでしょう。千石さんは「一流のギャルソンはギャラも一流」というのが信条ですが、実際は禄郎の給料(しずかの給料に毛が生えた程度と第3話で範朝が明かします)から払われている。貯金を切り崩さないと生活できない額でしょう。それでもやるのはただ禄郎に説得されたから?

違いますね。あの店が偉大なシェフだった親友の店だからでしょう。三流になった落ちぶれた店をもう一度一流と呼ばれる店にしたいというのが千石さんの野望です。それは禄郎もしずかも他のみんなも一緒でしょう。最初はそんなのどうでもいいと思っていた面々ですが、第8話のしずか移籍騒動では「この店は昔に逆戻りだ」と危機感をあらわにします。すでにみんなは「店のために」働いているのです。

そんななか、範朝は店を自分のものとして売り飛ばそうとした。断罪されてしかるべきだ。

正論でしょう。

しかし、無類のお人よしである現オーナーの「真心」により、彼はそのとてつもなく長い厄年に終止符を打つことができる。
もし禄郎が範朝をクビにしていたら、おそらく彼はどこかで大問題を犯していたに相違ありません。殺人とか強盗とかね。そんな他人様に迷惑をかけるくらいなら、お兄さんの迷惑は僕がかぶるよ、なんて高邁な精神が禄郎にあったとは思えませんが、結果的に禄郎の「何も考えていない人の好さ」が範朝を救います。

「俺には無理だ」とのおそれを抱く英雄の卵・範朝に対して千石さんの「自分を信じるんです」との亡き父を彷彿させる一言によって、範朝はヒーローズ・ジャーニーの暗黒面から一気に上昇気流に乗ることが暗示されます。

範朝を暗黒面から救い上げたのは、何より禄郎であり、禄郎の意を汲んだ千石さんであり、不祥事をしでかしても再び仲間に迎え入れた店の全員でしょう。もちろん、愛人のバルマン政子も大きな役割を担っています。

店を自分のものとして売り飛ばそうとした範朝は、逆にアンチヒーローからヒーローへと生まれ変わろうとしています。とてつもなく長い厄年とは、とてつもなく長いアンチヒーローとしての旅だったのですね。これからはヒーローとしての道だ!

さて…

ここにベル・エキップという店を自分のものと見なしているアンチヒーローがもう一人います。

他ならぬ千石さんその人です。
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続き
⑤アンチヒーロー千石武
⑥最低だが素晴らしい!
番外編 オーディオコメンタリーが面白い!






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2016年02月27日

さて、あさってはいよいよアカデミー賞の授賞式。
今年は大混戦で何が獲るのか、誰が獲るのかまさに混沌としてて実に面白い。

願望を込めた私の予想は以下の通り。


作品賞:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
監督賞:ジョージ・ミラー『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
主演男優賞:レオナルド・ディカプリオ『レヴェナント 蘇えりし者』
主演女優賞:ブリー・ラーソン『ルーム』
助演男優賞:シルベスター・スタローン『クリード チャンプを継ぐ男』
助演女優賞:アリシア・ヴィキャンデル『リリーのすべて』
脚本賞:『スポットライト 世紀のスクープ』
脚色賞:『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
撮影賞:『レヴェナント 蘇えりし者』
美術賞:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
作曲賞:『ヘイトフル・エイト』
編集賞:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
録音賞:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
音響効果賞:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
衣裳デザイン賞:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
視覚効果賞:『スター・ウォーズ フォースの覚醒』
主題歌賞:『007/スペクター』
メイキャップ&ヘアスタイリング賞:『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
長編アニメーション映画賞:『インサイド・ヘッド』
外国語映画賞:『サウルの息子』
長編ドキュメンタリー賞:『Amy』

てな感じでしょうか。

スタローンさえ獲ってくれたらあとはどうでもいいと思ってましたが、どんどん混戦模様になる一方なので面白くなってきました。

イニャリトゥの2年連続監督賞はないと思いますね。ジョン・フォード、ジョゼフ・L・マンキーウィッツという巨匠に並ぶ快挙を許すのか。スコセッシもイーストウッドもスピルバーグも差し置いて? ありえない!

注目の作品賞は『レヴェナント』でも『スポットライト』でもなく『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の華麗なる大逆転に賭けます。不覚にもアダム・マッケイという監督さんの名前を忘れてたんですが、あの傑作『俺たちニュースキャスター』の人じゃないですか。新人さんと思い込んでたので気づかなかった。頑張れ!!!

撮影賞は『レヴェナント』が獲るべきと思いますが、おそらく『怒りのデス・ロード』でしょう。たぶん。でも願望を込めた予想にしないと熱くなれないのでね。

あとちょうど48時間後に始まります。楽しみ楽しみ!





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2016年02月26日

今日の『5時に夢中!』のゲストはホリエモンこと堀江貴文。
さすがはホリエモンですね。どういう話を振っても最後はカネのことに着地してしまう。

そのへんは司会のふかわりょうも同感のようで、司会者としていじりがいのあるおいしい奴という計算もあるんでしょうけど、おそらく腹の中ではホリエモンを嫌っているのでしょう。そのへんは、中尾ミエもミッツ・マングローブも同じだと思いますな。

で、そのホリエモンが東京マラソンに出るという話になって、一般枠は抽選じゃないんですか、と訊かれると、いや、チャリティー枠というのがあって10万払えば出れるんですよ、と。


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カネのある奴は羨ましいですね。

って、そういうことじゃなくてですね、え? チャリティー枠??? そんなものがあるの。

と調べてみたらば、公式HPにちゃんと書いてある。

慈善団体に寄付されるみたいだからチャリティーには違いない。でも私はこの制度は撤廃すべきだと思います。

だって、最終的に慈善団体にその金が渡るといっても、出す人はただマラソンに出たいから出すんでしょ。主催者の懐に入るわけじゃないから商売とは言いません。でも出すほうは出場するための対価として出すんだからそれは寄付とは言わんでしょう。

動機に純も不純もない。たとえ何かの対価であってもそれで恵まれない人が助かるのなら寄付ではないのか!?

うん、それはその通り。寄付ではないとの言葉は取り下げましょう。

でもね、じゃあなぜ10万という下限が設けられているの? 寄付なら1円でも100万円でも同じ寄付では?

「いや、下限を設けないと結局みんな抽選ということになるから」ということなんでしょう?

できるだけ金もってる奴から吸い上げたい、吸った分を恵まれない人に還元したい、その気持ちは理解できます。

でもね、10万も払えない一般大衆は抽選に当たらないと出れないんですよね? その人たちはいったいどうなるの?って話なんですよ。

カネさえあれば普通は出られないところに出ることができる。そういう制度がホリエモンみたいな拝金主義者を生んでいるという事実になぜ気づかないのか。

カネがないばかりに普通の生活ができない人たちがいる。だから募金してください。それはわかります。だから私も少額ながら毎月ある団体に寄付しています。10万なんて大金と比べたら笑っちゃうくらい少額ですけど。

でもね、もっともっと募金が必要だ、だからカネさえ出せば東京マラソンに出場できますよ、と言ってしまったら拝金主義者たちの思う壺というか、カネさえあれば何でもできるという誤った考え方が社会にさらに蔓延してしまい、金がないだけで普通の生活ができない恵まれない人たちを再生産することになってしまいます。

東京マラソンのチャリティー枠はそういう「悪循環」を生んでるだけだと思いますが、いかがでしょうか。

この悪循環が進めば、下限が20万になり、30万になり…ということになっていき…そうなるともう「商売」ですよね。チャリティーではない。というか、現時点ですでに商売でしょう。

本から正さなきゃ。カネさえあれば何でもできるという拝金主義そのものをなくすことを考えずに、金がほしいばっかりに新たな拝金主義者を生むのは馬鹿げています。寄付金を募集するのはいいですが、その先にあるべきは「寄付金がないと生きられない人間をなくすこと」のはず。

かつてホリエモンは、「金で買えないものはない」と豪語しましたが、東京マラソンの出場権ってそうなっちゃってませんか?

だから、東京マラソンのチャリティー枠は即刻廃止すべき!!!





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