聳え立つ地平線

ありえないものを発見すること、それを写し撮ること、そしてきちんと見せること。

中村文則『悪意の手記』(新潮文庫)

『掏摸』の感動がいまだに忘れられない中村文則さんの『悪意の手記』を読みました。



不治の病に冒されながら一命をとりとめた主人公が無意識に楽になりたくて親友を殺す。殺した主人公の懊悩を描くのが主題で、これは現代ニッポンの『罪と罰』なんだろうか、と読みながら震えが来たんですけど、リツ子という名前だったと思いますが、かつて娘を少年に殺されて復讐を誓っている女と出遭うところから、何だかちょっと違う話になってしまった感が強いです。

リツ子も人を殺そうとしている。その標的の人物は主人公と同じく人を殺したことがある。

最終的にその元少年犯を別の人物が殺すんですが、登場人物の誰も彼もが「人を殺す/殺したことがある」という共通項をもっています。

それは明らかに狙いなんでしょうが、私にはそこが「作為」と感じられてしまったんですよね。「作り話」を読んでる気分が強くて興ざめしました。

外部からの異物によって主人公の環境が変わるのは物語としてよくある手ですけれど、どうも純文学にこういう手は似つかわしくないんじゃないでしょうか。

リツ子という女と遭遇する、そしてどうなるか、というサスペンス的な手法を使わずに主人公自身の喜怒哀楽をもっと純粋に掘り下げてほしかったです。

続編的ともいえる作品『最後の命』を読み始めました。いまのところ一字一句に息を呑んでいます。最後まで持続してほしい!



「大きな物語」は本当に失われたのか?

ポストモダンというものに疎いので見当違いのことを言うかもしれませんが、どうぞご容赦を。

さて、いまという時代を論じるときに「大きな物語が失われた時代」っていう決まり文句がありますよね。

あれって何かいつの間にかそれが当然みたいになってますけど、本当に大きな物語って失われたんでしょうか。

内田樹先生は、「決まり文句を容易に信じてはならない」と様々な本で語ってらっしゃいます。
「一度上げた生活レベルは下げられない」を代表として挙げてますが、「本当にそうなのか」という確認を怠ったまま、大多数の人間が同じことを言ってるから正しいと盲目的に信じて口にしているだけと内田先生は難じています。

「いまは大きな物語が失われた時代だ」というのも同じなんじゃないでしょうか。

戦争や革命などの大きな物語があった時代といまは大きく違うかもしれませんが、それでもやっぱりいつの時代でも、「人間は〝世界史″の中で生きている」のですからね。

確かに、大きな物語が失われたような気はします。だけど、それって主観的なものなんじゃないのかな、と。

「いまは大きな物語が失われた時代だ」と言う人は自分の視座からしかものを見てないんじゃないですかね? だから自分が歴史の大きなうねりの中にいることが見えない。

銀河系を真横から見た想像図がありますけれど、ああいうふうに超絶的なまでに客観的に自分の立ち位置を見つめないと、銀河系が回っていて、その中の太陽系も回っていて、地球はその太陽の周りを回っていて、自分はその渦中にいる、ということが見えないんじゃないかと。

「いま/ここ」にいながらにして、未来から「いま/ここ」を見る視座を獲得することが重要なんだと思います。

どんな時代でも「大きな物語」はありますよ。
「いま/ここ」の視座からは見えないだけで、後年になって「あぁ、あの頃はこうこうこういう大きな物語な中に自分はいたんだな」と誰しもが思うんじゃないでしょうか。


バチが当たったピケ スーペル・コパ2ndレグ バルサ1-1ビルバオ

スペイン・スーパーカップ第2戦。90分以内にバルサが4点以上取らないかぎりビルバオの優勝が決まるこの一戦。守りに入らないでくれと思っていたら、こちらの思惑どおり、ラインを高めに設定して前からプレスかけてましたね。よかった。

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それでもルイス・スアレスの胸パスからメッシが意地のゴールを決めたのはさすがでした。もしかして後半、怒涛のゴールラッシュで逆転されてしまうのか。そんなことになったらウルトラ大逆転ということで今週末から始まるリーガでもバルサが調子よくなってしまうではないか。何とかしのいでくれ、ビルバオ!!

と思っていたら、後半も前から激しいプレスでなかなかチャンスを作らせない。この状態を試合終了のホイッスルまで維持できれば優勝できる、と祈る気持ちでいたら、何とピケが副審への暴言で退場と。これで勝ったも同然。いやぁ~、ピケ様様ですよ。

ピケといえば、ちょっと前は紳士的発言で知られていたけど、最近変わったみたいで、CLで優勝したときとか、先日のUEFAスーパーカップを取ったときとか、「レアルの奴ら、いまごろ悔しがってることだろう」みたいな発言をツイッターでしたとかで、クラシコで勝ってそういうこと言うならわかるけどレアルと関係ないところでそういうこと言うのは許せない!

というわけで、バチが当たったんでしょうな。審判に何と言ったのかは不明ですが、ちょっとやそっとでは一発レッドなんて出ない。

しかもそのあとのルイス・エンリケの采配もわからなかった。

解説者が言ってたように、2枚替えしたことでトーンダウンしてしまったんですよね。
いったいどういう風に戦うのか、システムは何なのか、さっぱりわからない。メッシが下がってイニエスタとインテリオールなのはわかったけど、問題はブスケツですよね。センターバックに入って攻撃時はひとつ上がるのか、どうなのか。サイドバックのダニエウ・アウベスとマテューも何か中途半端な位置取り。入った若いFW2人にはまったくボールが入らないし。

と思っていたら、後方からのフィードでマテューが競ったこぼれ球がアドゥリスの足元に…。そこにバルサの選手は誰もいない。何というザル守備。いったんはキーパーが弾いたものの、押し込んだアドゥリスはこれで2試合合計バルサから4得点。間違いなく今大会のMVPでしょう。

何しろ敗因はやはり第1戦のスタメンを間違えたことでしょうね。あれじゃ勝てない。

いま知ったんですが、ビルバオとバルサは何とリーガの第1戦でも対戦するらしい。スーペル・コパで対決すると知っててこの組み合わせ。しかも舞台はサン・マメス・バリア! こりゃビルバオ絶対優位ですぜ。

このままバルサが沈んでくれるとマドリディスタの私としてはうれしくてしょうがないんですがね。ははははは。(その前に自分のチームがどうなのか、ですな。とりあえず、セルヒオ・ラモスと契約延長にこぎつけたのは朗報です)



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