聳え立つ地平線

ありえないものを発見すること、それを写し撮ること、そしてきちんと見せること。

『ターミネーター/新起動(ジェニシス)』(がっかり拍子抜け!)

前回までの記事
『ターミネーター』第1作(古さを感じさせない活きの良さ)
『ターミネーター2』(最後がいまだにわからない!)

で、今日はTOHOシネマズデーということで、見てきましたよ、『ターミネーター/新起動(ジェニシス)』。

しかし、これがとんでもない代物で・・・(以下ネタバレあります)

無題今日のこの日のために1と2を復習したんですけど、1も2もやっぱり物語の構造がかなりシンプルなんですよね。

1は、サラ・コナーを殺そうと未来からやってきたターミネーターから、サラの息子ジョンに遣わされたカイルが彼女を守る。

2は、ジョン・コナーを殺そうと未来からやってきたターミネーター=T-1000から、サラと未来のジョン自身が遣わしたT-800がジョンを守る。


で、この続編は、というと、カイルがジョンの命令で84年の世界に行くところまではいいんですよね。
しかも、すでにその世界には老いたT-800がいてすでにサラを守っているという設定。そしてT-1000もすでにその世界に存在し、未来からやってきたカイルを殺そうとする。


なかなかいいと思いましたよ。アクションもキレがよくって、特にT-1000を演じるイ・ビョンホンが素晴らしい!

のだけど、そのあと、時間軸がどうだこうだとか何だかんだとややこしい背景説明ばかりのあと、何と! ジョン・コナーがターミネーターとして両親であるサラとカイルを殺そうと刺客としてやってくるという最悪の展開に。

そりゃ、いろいろ過去を変えたから未来が変わるのはわかるけど、救世主になるはずだったジョンがターミネーターというのはいくら何でも「そりゃねーよ!」と言いたくなります。

それに、肝腎のシュワ演じるT-800はいったい誰の手で9歳のサラのもとへ送られたのか、何も説明なかった気がするけど。続編まで待てということか。そういうことやってるからアメリカ映画に客が入らなくなっちゃったんじゃないんですか!?

それに、ジョンはなぜ両親を殺そうとするのか。スカイネットが起動してターミネーター・ジョンが生まれたとか言ってたから、もうサラとカイルは両親じゃないのか。うーん、そのへんも複雑すぎてわからないんですよ。もっとシンプルにしてくれないと。

ジョンをターミネーターにするんじゃなくて、スカイネットの開発者にしたらまだしもだったのでは、と思います。昨日、『ターミネーター2』の感想で「スカイネットの真の開発者は誰なのか」と書きましたが、結局、何も明らかになってませんよね。だから救世主になるはずだったジョンがスカイネットの開発者になってしまう皮肉ならまだ何とか受け入れられたと思うんですが、やっぱりターミネーターとして出てこられたのでは、これまでのすべてを台無しにしてるとしか思えません。


Terminator-Genisys-HD_sとはいえ、シュワルツェネッガーは「映画スター」の顔をしているな、と改めて思いましたよ。シュワが出てくるとホッとしたんですよね。他に「映画の顔」がいないから。J・K・シモンズも映画の顔で良かったですが、出番少ないし。

サラを演じるエミリア・クラークという女優さんはまだしもですが、カイル役のジェイ・コートニーとかジョン役のジェイソン・クラークとか、ひどい顔でした。大画面でテレビドラマ見てるみたいでした。

次の続編は絶対にDVDスルー! つまらない映画には不買運動で抵抗せねば。
でもキャメロンが撮るんだったら…(←見たいんかい!)



『怪奇大作戦』第16話「かまいたち」

昨日の『怪奇大作戦』は大名作「かまいたち」でした。

この作品は、人間のまわりを瞬時に真空状態にして、まるで鎌鼬に切られたかのように一人の人間が寸断される連続殺人事件をSRIが追うというもの。

例によって、トリックとかそういうことよりも「人間」や「時代」に重きを置いた脚本です。

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何しろ、犯人には動機らしきものがない。あるんでしょうけど誰にもわからない。おそらく本人にもわかっていない。

そこが恐ろしい。

動機なき殺人という言葉が人口に膾炙して久しいですが、私が生まれる前からこういう恐怖は日本人みなが共有していたんですね。

上の画像はその動機なき殺人を犯した「ごく普通のおとなしい若者」の瞳です。

この茫洋とした目は、そういう事件を犯したと知って見るとそう見えるし、何かを決意した目だと聞いてみればそう見えるし。

クレショフ効果というやつですね。


岸田森演じる牧は犯行現場でうろついていたこの男の「あまりに普通な容貌」に逆に怪しいと思う。なぜそう思うのかは牧本人にすらわからない。

おそらく「本能」でしょうね。SRIという特殊部隊の人間としての本能じゃなくて、純粋に一人の人間としての本能。怪しくなさそうだから逆に怪しいという。説明はできない。頭では理解できないが体が叫んでいる。

この若者自身もなぜ自分が人間をバラバラにする犯行に及んだのかまったく説明できないでしょう。説明できないからこそ彼は真犯人なのです。

わからないがゆえにわかる。わかるがゆえにわからない。

人間心理の本質を衝いた大傑作ですね。若者を演じた俳優さんのキャスティングも素晴らしいの一語!



『ターミネーター2』(最後がいまだにわからない!)

前回の記事
『ターミネーター』第1作(古さを感じさせない活きの良さ)

で、『ターミネーター2』見ました。これで明日のTOHOシネマズデーに新作を見に行く態勢が整いました。

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それにしても、あのつまらなかった3と4を「なかったこと」にして新作を作るという発想は本当に素晴らしいですね。『ターミネーター』の権利は2019年にキャメロンの元に戻るらしく、今回もキャメロンはかなり監督たちにいろんなアドバイスしたという話ですが、おそらく『アバター』(あのシリーズに私は興味ありませんが)の製作が終わったら『ターミネーター』の自身30年ぶりぐらいの新作を手掛けるつもりなのでしょうね。楽しみ楽しみ!

さて、今回、かなり久しぶりに見直した2ですが、いままで見たなかで一番面白かったですね。最初劇場で見たときはどうしても画期的な傑作だった1と比較してしまってがっかりしたんですが、見直すたびに面白くなる。なぜかはわかりませんが。

1は、最初、シュワルツェネッガーとマイケル・ビーンがほぼ同時に現代にタイムスリップしてきて、シュワが悪役なのはすぐわかりますが、「サラ・コナー」という名前の女性を次々に殺害していく理由がわからず、いったいこれはどういうことなのか、主人公サラ・コナーにいったいどんな秘密が隠されているのか、というサスペンスで引っ張ります。

で、この2では、シュワルツェネッガーとロバート・パトリックが同様にほぼ同時に現代にタイムスリップ。二人ともサラの息子ジョンを探しているのは物語上自明の理なのですが、今度はどういうサスペンスで引っ張るかというと、シュワとパトリックのどちらが敵でどちらが味方なのか、という点ですね。まさか1作目と同じようにシュワが悪役ではないだろう、一躍スターダムにのし上がった彼をまた悪役で起用するとは考えにくい。しかし、裏の裏をかいてまたシュワが悪者なのでは? と思わせておいてやっぱりパトリックが悪役と。うまいですね。

そして、シュワといえば、エドワード・ファーロングとのやりとりで笑わせてくれますが、これって『ツインズ』や『キンダガートン・コップ』などのコミカル路線があったから思いついたキャラクターというか描写なんですかね?
私自身は何となく、キャメロンがシュワのコミカル路線を踏襲して『ターミネーター』シリーズに組み込んだと思うんですけどね。だってキャメロンのこの次の作品は同じシュワを使ったナンセンスなギャグ満載の『トゥルー・ライズ』ですから! キャメロンとシュワの路線が幸福な結婚を果たしていました。

一方、この映画では何と言っても光の捉え方が秀逸だと思います。

基本的に外光、つまり太陽光は青白い光=寒色として捉えられています。そして、それとは対照的に、火を噴く銃口や火炎や砂漠の砂埃や溶鉱炉など暖色を効果的に使ってるんですよね。

『マッドマックス 怒りのデスロード』では、寒色と暖色がそれぞれまったく別個のシーンのテーマとして撮られていたのとは好対照で、『ターミネーター2』では寒色と暖色が1カットの中で同時に捉えられ、豊かなハーモニーを奏でています。

この映画、というかシリーズではタイムスリップが根底にありますからどうしてもタイムパラドックスが生じるんですよね。

スカイネットの開発者は、1のT-800の残骸を入手して開発を進めていました。

てことは…?

『ドラえもん』で、連載マンガの続きを思いつかなくなった漫画家の代わりにドラえもんが未来に行って続きのマンガを入手してそのとおりに描き、「いったいこのマンガの本当の作者は誰なの?」という話がありましたが、この映画もそれと同じ構造ですね。スカイネット、そしてターミネーターの真の開発者は誰なのか。

もしかしたら新作の『新起動(ジェネシス)』でそれが明らかになっているのかもしれません。今回はまだそこまで踏み込まず、次回、キャメロンが答えを出してくれるのかもしれません。

でも、いままで「スカイネットの真の開発者は誰なのか?」という疑問を言っている人って私は知りませんから(私自身、今回の鑑賞で初めて気づきました)もしかしたら最後まで答えは出ないのかも。タイムパラドックスを強引に解決してしまうとよけい矛盾が出てしまいますしね。

それはそうと、この映画の最初の鑑賞から今回までずーっとわからないことがあります。

あの液体金属のターミネーター(T-1000でしたっけ?)は最後なぜやっつけられるんですか? それまでいくらショットガンで撃っても元に戻ってたのに、何ゆえに最後だけ再生せずに溶鉱炉の中に落ちていってしまったのか。

どなたかわかる方、ご教示ください。


続き
『新機動/ジェネシス』(がっかり拍子抜け!)



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