聳え立つ地平線

ありえないものを発見すること、それを写し撮ること、そしてきちんと見せること。

リーガ第19節 レアル3-1ソシエダ(選手だけで勝ち取った勝ち点3)

前節、ホームでのラージョ・バジェカーノ戦は結果だけ見れば10-2の大勝でしたけど、内容は恥の上塗りもいいところと言いたくなるぐらいにひどい試合でした。

ラージョの一人目の退場は仕方ないと思いますよ。審判によってはイエローで済ませる場合もありましょうが、足の裏を見せて完全に足首狙ってましたから。あれは危険。でも二人目の退場はもう完全にレアル贔屓の判定。その前にセルヒオ・ラモスがエリア内でハンドを犯したにもかかわらずお咎めなしだったのに。ラージョが9人での戦いを強いられたときスコアは1-2でしたが、あのハンドを取っていれば1-3だった。

で、9人になったらいくら何でも個々の能力の高いレアル攻撃陣を止められるはずもなく、そこから9失点。それでもラージョのパコ・ヘメス監督は「ひざまずかなかった選手たちを誇りに思う」と発言。さらに「あのようなバカげた判定はうちのチームだけでなくレアル・マドリードにとっても、スペインサッカー全体にとってもよくない」と言って罰金を科せられました。何ともはや。あまりに馬鹿げています。

見てるこちらも10点も入れば普通ならお祭り騒ぎなのに、どうにも釈然としない。何だか恥ずかしい。本当なら大敗しておかしくないチームが逆に大勝してしまった。穴があったら入りたい。

と、地球の裏側でこっそり応援する人間ですらそう思うのだから、実際あのピッチに立っていた選手たちはもっとそれを痛感していたのでしょう。

今日も、疑惑の判定がありました。エリア内でベンゼマを後ろから倒したとPKの判定。確かに倒してはいるけどあれでPKはないですよね、普通なら。しかも、その直前、ペペが自陣エリア内でハンドを犯していたのにまたもお咎めなし。もう完全に審判を買収していると言われてもおかしくない。

で、そのPKをクリスティアーノ・ロナウドがわざと外したんですよ。そしてPKを外したのにホームのサポーターは大喝采。実況アナや解説の北澤は「変な事態ですね」としらっと言ってたけど、内心は「なるほど、わざと外したか。そう来たか」と思っていたはずです。

だってロナウドがあんな外し方するわけないですもの。いつもはあんな高く浮くボール蹴らないし、何しろボールスピードが遅すぎます。あれは絶対にわざと。またも審判に助けられて勝利なんてことになったら恥の上塗りのさらに上塗り。それだけは避けたかったのでしょう。私も外れた瞬間ホッとしましたもんね。そして拍手するサポーターの気持ちもよくわかりました。

完全に選手たちが見限ったベニテス監督を解任してもらうには試合に負けるのが最も近道。とはいえ、そんなことをしたらタイトルが遠のく。勝ちたい。ベニテスの首はすげ替えてほしいけど、その前におれたちはやっぱり勝ちたい。

それなら勝とうじゃないのさ。勝ってやろうじゃないの。でも審判に助けられて勝つのは二度といや。

というわけで、前半の終盤、ベイルのクロスが相手DFの手に当たってまたもPK。でも、このPKは俺たちの実力で勝ち取ったPK。だから絶対決めると、ロナウドはいつものボールスピードでネットに突き刺しました。キーパーがコースを読んでるのにセーブできないのだから、いかに1本目のPKが緩かったか、つまりわざと外したかどうかがわかるというものです。

先制はしたけど勝てるのかな、と懐疑的でしたが、案の定、後半開始早々にあまりに緩い守備からゴールを許してしまいます。クロースの脇にスペース空きすぎてるってずっと言われてるのに何で修正しないんだろう。
ダブルボランチと両サイドハーフでしっかり中盤を支配する4-2-3-1のほうがいいんじゃないの? そのほうがハメスも生きてくると思うし。

こうなったら負けろ、負けろ。負けたほうが監督交代の口実ができていいや。
しかも、ベニテスはヘセ、ルカス・バスケス、イスコといった攻撃のカードがあるにもかかわらず、ハメスを下げてコバチッチを入れるという不可思議采配。そりゃ勝てませんよ、そんな弱腰な采配してたら。

ところが、今日のレアルは最近のレアルとは一味違いました。

珍しくマルセロが蹴ったコーナーキックをロナウドが後ろに下がりながらボレーで決めちゃったんですよね。

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あれはすごかった。久しぶりに見たウルトラゴラッソ!!! 

その後、ベニテスの采配は、ベンゼマに代えてルカス・バスケス投入。FW同士の交代というのはわからなくないんですが、ルカスを右サイドハーフ、コバチッチを左サイドハーフに据えた4-4-2にするというのがわからないんです。コバチッチってボランチでしょう? ロナウドを2トップの一角に据えるのなら、そういうときこそ左サイドが主戦場のチェリシェフを使うべきだと思ったら監督判断で招集外と。うーん。

しかし、右サイドで最近生き生きしているルカスがベイルからの素晴らしいクロスをピタッと止めてゴールに突き刺すという、この日初めて流れのなかで取った得点。お見事。

何だか、「監督がアホでも俺たちだけの力で勝ってみせる!」という意気込みを感じた試合でした。そりゃまぁ、ソシエダのアギレチェやカナーレスが怪我しなかったら負けてたかもしれませんがね。

決してベニテスの力で勝ったわけではないこの試合、すでにソシオのみなさんに次期監督は誰がいいかというアンケートを取っているらしく、もう既定路線でしょう。ペペが「監督交代は間違っている」と優等生発言をしたらしいですが、そんなの嘘八百に決まっています。

何しろ選手との間に溝ができたのは、試合中に自チームの選手を小声で口汚く罵っていたのをベンチにいた地獄耳の選手(誰だろう?)が聞きとがめたのが発端らしいですから。もう関係修復は不可能じゃないでしょうか。

問題は、時機と理由(口実)ですよね。

負けるのが一番いいんですが、それはもう許されない。審判の助けを借りて勝つなんてもういやだ。となると、残された道は、「監督の采配ミスを選手がカバーして勝つ」試合を積み重ねること、と選手たちは話し合いで決めたものと見受けられます。

ちょっと前に毎年行われる選手だけの決起集会が開かれたとのことですが、今日の試合を見るかぎり、そういう結論に至ったんじゃないかと。

だからロナウドのゴラッソにはしびれたんですよね。ハメスが替えられたあとだっただけによけいに。



アドニス・クリード ロッキー魂を継ぐ男!

見てきましたよ。『ロッキー』シリーズ最新作『クリード チャンプを継ぐ男』。

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でも今回はロッキー・バルボアじゃなくてかつて敵でありその後親友になったアポロ・クリードの息子アドニス・クリードが主人公。ロッキーは彼のトレーナー役です。

私は長年のアカデミー賞ウォッチャーなんですが、このところの賞レースでスタローン先輩が助演男優賞にノミネート、あるいは受賞というケースが相次いでおり、第1作以来39年ぶり、しかも同じ役でのノミネート、そして初受賞はあるのかないのか、というところが最大の関心事でして、もう映画を見るというよりスタローン先輩を見に行くという感じでいそいそと劇場へ出かけて行ったのでした。

最初は乗れませんでしたね。何かこう脚本の構成がぎこちないというか、主人公アドニス・クリードにすんなり乗れない語りになってるんですよ。気のせいか?

で、それはクライマックスであるタイトルマッチ直前まで続きました。何か乗れない。ロッキーが癌に侵されていると知っても「あ、そういう手を使ってきたのね」とものすごく冷徹に見てしまう。作品自体の評価も高いようだけど、どこが?という感じでした。スタローン先輩もそんなにいい芝居してないし。いつもよりはいいんだろうけど、と。

それがですね、タイトルマッチが始まると一変するわけです。もう血沸き肉躍ってしまったんですよ。普段はボクシングとかぜんぜん興味ないんです。サッカーにしろ野球にしろ相手の体を直接攻撃しない、したら反則というのがスポーツの面白さと思ってるのでね。

でも映画の中で主人公がやることとなると話は別。「映画においては、愛してると一言つぶやくより一発ぶん殴るほうが決定的なのだ」とは黒沢清監督の言葉ですが、ボクシングこそはその決定的な事態がいくつもあるわけで。

まぁ、現実のボクシングに比べてクリーンヒットがありすぎ、というのはどのボクシング映画でもそうですが、この『クリード』でも、いくら何でもいまの一発でKOでしょう、と言いたくなるのをグッとこらえて画面を見つめていますと、もうノリノリというか、正真正銘血沸き肉躍ったわけです。

そして、最終ラウンドの直前、左目が開かなくなったクリードに対してロッキー・バルボアが言うセリフが泣かせるんですよ。

「アポロはミッキーの死から俺を救ってくれた。でもおまえにはもっと救われた。俺は癌と闘う。必ず勝つ。だからおまえもあいつを倒してこい」

そして、あろうことか、ここで初めてあの「ロッキーのテーマ」が高鳴るわけですよ。アドニス・クリードがロッキー・バルボアの魂を受け継いだ瞬間でした。あの瞬間に鳥肌立てられないような人間とはお近づきになりたくありません。

だから、チャンプを継ぐ男と銘打ってはいますが、この映画はロッキー・バルボアの魂を受け継いだ男の物語なのですね。

ちょっと前に、『ロッキー』とまんま同じ物語構造をもつ『英国王のスピーチ』なんて映画がありました。同じころ、『オーバー・ザ・トップ』の変奏曲『リアル・スティール』なんて映画もありました。


ロッキーの魂のみならず、スタローン先輩の魂が受け継がれていってるわけですね。

クレジットをよく見てみると、脚本がスタローンじゃない! 『ロッキー』シリーズの生みの親は他でもないスタローンなのに。プロデューサーもアーウィン・ウィンクラーとロバート・チャートフという第1作からのコンビ。それなのになぜスタローン脚本じゃないのか。

考えてみれば、これもスタローン先輩の魂が受け継がれていることの何よりの証左かもしれません。監督自身が原案を担当してるんですもの。ロッキー・バルボアとスタローン先輩の遺伝子はもうアメリカ映画界に蔓延していると見ていいようです。

もうオスカー取れるかどうかなんてどうでもよくなりました。

ロッキー・バルボア万歳! シルベスター・スタローン万歳!!!



ネタバレ問題のそこんところ!

『スターウォーズ フォースの覚醒』が公開されてからというもの、ネット上では「ネタバレするな」「ネタバレしたな、この野郎!」みたいな、ネタバレ禁止、ネタバレした奴を攻撃、吊るし上げる、みたいなことが行われてるみたいですが、どうもこういうの厭でして。

もともと『スターウォーズ』の公開より前からここ数年、いやもう10年か20年くらいになるんでしょうか。「ネタバレされたら見る気がなくなる」という風潮が広まったのは。

いま、四方田犬彦さんの『テロルと映画 スペクタクルとしての暴力』(中公新書)を読んでるんですけど、これはテロリズムを扱った映画を通してテロリズムの本質をあぶりだしていくというなかなか野心的な本なんですが、その内容はいまはどうでもよく、四方田さんは冒頭でこういうことをお書きになっています。

「まず本書では一本のフィルムを紹介するにあたって基本的に物語の結末もきちんと書き記しておく主義を採用している。映画はネタバレになればもう見る愉しみがなくなってしまうという昨今の愚かしい思い込みとは別の地点に立って、読者に映画の本当の面白さを体験してもらいたいからである。すぐれたフィルムは一度見ただけでは絶対に理解できない。いくたびも繰り返し見直し、筋立てなどがどうでもよくなったところにまで到達して初めて監督の意図したメッセージを受け取ることができるのである。ネタバレを云々する映画の見方は、最も幼稚な見方であることを確認しておきたい」

なるほど。全面的に賛成ですね。結末がわかっていたら楽しめないのであれば、同じ映画を二度三度見ることはまるで無意味な営みになってしまいます。本当に面白い映画は何度見ても面白いし、逆に見れば見るほど面白くなっていくものです。

しかしながら、当の私も初見の映画はできるだけネタバレに触れずに見に行きたいのも事実なんですよ。

ネタバレ云々は幼稚が正論なら、ネタバレ禁止!もまた正論ではないかと。

じゃあ何が言いたいのかというとですね、ネタバレの文章を読むことの罪、未見の映画のレビューを読むことの罪、これに尽きますよ。

最近の映画レビューには必ずと言っていいほど「ネタバレあり」とか注意書きがありますよね。私もときどきやります。でもほんとはやりたくないんです。なぜなら、ある映画の感想を書くとき、「その映画をすでに見た人」を読者として想定しているからです。

当たり前でしょう。といいたいところですが、最近はどうもこれが当たり前じゃないようでして。

できるだけ損したくないからと他人のレビューを読んでから見る人がいるんですってね。信じられない話ですが、映画だけでなく、食べログとか旅行に行くときはホテルや旅館のレビューなんかを熱心に読んで決めるんですって。あんなのサクラがいるに決まってるのに。全員じゃないだろうけど。

私は別に配給会社の回し者とかではないので思ったことを虚心坦懐に書いてるだけですが、中には本当にサクラがいるのでは? 自社作品のべたぼめレビューを書いたり。他者作品のダメ出しレビューを書いたり。

まぁサクラ云々は別にして、自分がまだ鑑賞してない映画のレビューを読むその神経がわからんのです。つーか読むな。

見てから読むか、読んでから見るか。ってのは私の世代では原作を読むかどうかの話だったんですが、最近では見た人の感想を読んでから見る、というのだから時代は変わったもの。

だから冒頭に「ネタバレあります。ご注意を」なんて但し書きせねばならない。アホらしい。

でも、放送禁止用語と同じで「自主規制」も必要だと思うんですよね。

ツイッターなんかだと、タイムラインにフォロワーさんのツイートがただ時間順に並んでるだけなんで見てる映画の感想も見てない映画の感想もいっしょくたに表示されます。ああいうところでネタバレ文章を書くのはやはりマナー違反でしょう。

でも、ブログとかallcinemaにアップされてるレビューは、まず映画の題名で検索するわけだから、見てない人のほうが見るまで我慢するのが筋というものでしょう。

中には、わざわざ見てない映画の題名で検索してネタバレ犯を見つけて吊るし上げるという暇人もいるらしいです。

世も末だ…



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