聳え立つ地平線

ありえないものを発見すること、それを写し撮ること、そしてきちんと見せること。

リーガ第14節 レアル4-1ヘタフェ(ここから好転する…のか?)

クラシコで大敗し、前節エイバル戦では勝ったものの内容は悲惨なもので、しかもミッドウィーク国王杯4回戦でカディスと対戦して勝ったものの、出場停止だったチェリシェフを使ってしまうという大失態を犯して失格処分。

ペレスは「通達がなかった」と言ってますが、それならなぜハーフタイムで交代させたんですかね? 知ってたけど忘れてたんでしょ? 思い出して慌てて下げたんでしょ? 言い逃れするなんてみっともない。素直に謝ればいいのに。

しかし、とことんまで落ちたのが幸いしたのか、今日のヘタフェ戦はここ1か月の鬱憤を晴らしてくれる素晴らしい試合でした。

real-madrid-getafe-la-liga-05122015_2lfx7l9b272w132y4aytj1zph

DFが4人しかいないなかで本職のアルベロアをベンチに置いてルカス・バスケスを右サイドバック、しかも右利きのダニーロを左サイドバックっていったいどうよ!? と、またもベニテス采配にいちゃもんつけたくて腹立ちましたが、ダニーロはともかく、ルカス・バスケスがうれしい誤算。あそこまでできるとは。実況の柄沢アナが言ってましたけど、前節の最後のほうは彼が右サイドバックに入ってたんですってね。あまりにひどい内だったからそこまで見てませんでしたわ。いいオプションが加わったなと。ま、その前に怪我するなよと言いたいですが。メディカルスタッフは何をしているのかな。

それにしても、キックオフ早々から激しくプレスをかけてどんどん縦に速い攻撃を仕掛けてくれたのはめちゃうれしかったですね。特に先制点。何とセンターバックのペペが右サイドをオーバーラップして鋭いクロス、合わせたベンゼマも完璧なシュート。いやぁ、開始4分で何かが違うぞ、と思わせてくれる内容でした。

ロナウドが久しぶりに流れのなかで決めたゴール(あくまでもリーガで、ですが)も、自陣深いところで奪ってからの超高速カウンターが炸裂!!! とにかく縦に速い。クロースのスルーパスもよかった。パスコースといい、スピードといい、絶妙すぎる。

本当にこれから変わっていくのかどうかは予断を許しませんが、国王杯での大失態で逆にチームが一丸となった感じがします。ロナウドやベイルがあそこまで守備に奔走したのも監督に言われたからじゃなくて「何とかしなきゃ」という危機感から自発的にやったものでしょう。

バルサがバレンシアに引き分けてくれて勝ち点差は4。ピタリ追走していってほしいですね。

しかし、モドリッチが大車輪の活躍ですが、彼の活躍ぶりを見るたびに「怪我したらどうなるのか」と逆に恐くなってきます。

あまり考えず、今日は勝利の美酒に酔いたいものです。



『太陽を盗んだ男』(ゴジ監督発言録)

久しぶりに見ましたよ。長谷川和彦監督の伝説的傑作『太陽を盗んだ男』!!

6b88c3fc


沢田研二を原爆製造犯、菅原文太を刑事に配したサスペンス・アクションの大傑作です。

『気狂いピエロ』で特別出演したサミュエル・フラーが、主役のジャン・ポール・ベルモンドに「映画って何なんだ」と問われて、「愛、憎しみ、アクション、暴力、死。つまり感動だ」と答える名シーンがありますが、この映画はまさにそれですね。原爆を作って脅迫するというサスペンスフルな物語なのに、やたら笑えるシーンがあったり、もうごった煮状態。

見ながら、遠き日にゴジ監督から直接聞いた話を思い出しました。

images

左が長谷川和彦監督。通称ゴジさん。こんなことを言ってましたっけ。

「レナード・シュレーダーから『何でもない若者が原爆作ってプロ野球最後まで見せろって話』と提案されて、すぐ乗ったんだよ。なぜかって? だって実にバカバカいじゃないか」

「でもその若者が何をしている人間なのかがわからなかった。つまり職業。原爆作ったものの何を要求していいかわからない、そんな奴が生業にしているものって何だと」


julie

「原爆をどうやって作るか調べていくと、どうしても被爆の可能性があることがわかった。加害者も被害者。というか、こいつは東京中の人間が死んでもいいのかって脅すんだけど、実は自分が死にたいだけなんじゃないか。あ、そうか、こいつ死にたいんだ。そこでこの男がグッと自分のほうに引き付けられた気がしたね」

「だって生まれてくることは選べないけど死ぬことは選べるじゃないか。俺はずっとそう思って生きている」



o0450024512021305153

「高校の頃、生徒会長をやってたんだが、担任の教師から『おい長谷川、お前将来何やりたいんだ』と訊かれて『映画を作りたい』と答えたら『そうか。俺はな、人間作ってるんだ』と言いやがってよ。あんまり好きな先公じゃなかったけど、あ、そういうふうに考えて教師やってんだって何だか妙に記憶に残っててな、で、あの先公、もしかしてものすごく孤独だったんじゃないかとふと思ったんだよ。この主人公も孤独な奴だ。じゃあ教師にしようって。それまでに2年もかかったんだぜ」

a0102250_16592232


「黒沢清は刑事を主人公にしたがるが、それはできるだけしないほうがいいと思ってる。なぜなら刑事は職業として事件に関わるから。何かもっと個人的な感情で動かないとドラマが熱く煮えたぎらないと思うんだ。主人公を刑事にするのは話を作るには簡単だけど、簡単だけにつまらない。この映画だって、もし文太刑事を主人公にして原爆作った悪い奴をやっつける話だったらつまらなかったと思うよ」

ゴジ監督、最新作いつまでも待ってますよ!



『龍三と七人の子分たち』(昭和と平成の対決!)

北野武監督最新作『龍三と七人の子分たち』がやたらめったら面白かったです。

803484fb


この映画はやはり「世代間抗争」ですよね。悪い奴らが悪い奴らを懲らしめるわけだから勧善懲悪ではないし、昔気質のヤクザがいま自分がヤクザだという自覚もなしに弱い者いじめしている新興ヤクザを懲らしめる。

昔はよかった、なんてよく言いますし私自身もそう思いますけど、北野監督はもっとそういう思いが強いんじゃないでしょうか。

この映画に出てくる悪役たち(しかし主人公も悪人のはずですが、さて「悪」とは何でしょうか)の悪辣さは自分たちが悪人だと自覚してないところにあります。

ryuzo7_yasudaken_large

ま、龍三たちにも自覚がないと言えばないんですけどね。「俺は殺しが5つで傷害が2つで~」とか気楽に言い合う場面では、およそ自分たちが悪いことをしたという自覚などないように見えます。

しかしながら、彼らは同じヤクザを殺してたんですよね。堅気の人間を傷つけたわけではなかった。ところが、新興ヤクザどもは拳銃はもってるわ、平気で人殺すわ、弱い者たちから金巻き上げるわ、まさにやりたい放題。なのに、「俺たちはヤクザじゃない。ちゃんとした堅気の会社です」と堂々と言えてしまう面の皮の厚さがどこまでも憎々しい。

結局、この映画は、かつての東映任侠映画と同じ構図なんですよね。「義理だの人情だのそんなものは過去の遺物だ」とばかりにやりたい放題する同業者を鶴田浩二や高倉健がぶった斬る!!! 愉快痛快。

だから、この映画は勧善懲悪ではないなんて言いましたけど、やっぱり勧善懲悪なんですね。その「善」なる者もまた悪人にすぎないというところが肝でして。クリント・イーストウッドの『許されざる者』も同じでしょう。己を許されざる者だと自覚しているイーストウッドと、自覚せずに正義の執行者と自認しているジーン・ハックマンの対決。悪が悪を成敗する。そこにはかつての東映任侠映画と同様、徒労と虚しさしか残りません。

しかし、この『龍三と七人の子分たち』は同じ図式で同じことを語りながら、それを喜劇として提示したところが素晴らしいと思います。

ラスト、新興ヤクザどもをやっつけた組長・藤竜也に若頭・近藤正臣が「次は俺が組長だな」と言うと、「バカ野郎、出てくるころにはみんな死んでるよ!」という愉快痛快なセリフが実に新しい。笑いですべてを締めくくりながら、映画館が明るくなり帰途につくころには、「嗚呼、あの素敵な人たちはもうすぐ死ぬんでしまうんだ。弱い者から金を巻き上げる悪人どもを懲らしめてくれる人たちがいなくなるんだ」という妙な哀しさに包まれる。

東映任侠映画では主人公が感じていた徒労と虚しさを、この映画では主人公たちが感じずに観客にだけ感じさせるんですね。そこが同じ悪が悪を成敗するヤクザ映画でありながら喜劇として提示した『龍三と七人の子分たち』の新しさだと思います。

昭和と平成の対決。
それは当初、龍三たちと新興ヤクザの対決であったかのように見えて、実は新興ヤクザもほとんどは昭和生まれ。

真の昭和と平成の対決は、60年代東映任侠映画と21世紀たけし映画とのガチバトルだったのだな、と気づいたところで、カット、カット!



最新コメント
お問い合わせ
お問い合わせは、こちらまでお願いします。