聳え立つ地平線

ありえないものを発見すること、それを写し撮ること、そしてきちんと見せること。

両親が心配な件3

次兄にできるだけ実家に帰ってやってほしいと言われたので、正月から2週間でまた実家にいます。

さて、今回はぎりぎり認知症とは診断されなかった父のことではなく、母のことです。

まず、父のリハビリがこれまでは同じ施設に週2回行っていたのを、別の施設に週1回ずつに変更になったことから。

昨日、帰ってくると、いつもならテレビの前に座っている父がいない。お試しで別のデイサービス施設に行っていると。これまでのところは午前中だけの半日プログラムでしたが、夕方までの全日らしく、大丈夫だろうかと思いながら犬の散歩に行き、帰ってきたら帰宅していました。

かなり疲れたというのは想定内ですが、左目の白目の部分が真っ赤。どうしたのかと聞いても要領をえない。母に聞いても知らないという。疲れたから充血しているだけかと思っていました。

それが昨日だいぶ早く寝て疲れが取れたはずなのに真っ赤な目は変わらない。ちょっと心配だということで昼から夫婦そろって眼科に出かけました。

帰ってきて、どうだったかと母に訊くと「それがよくわからないらしいの」と。え、医者でもわからない奇病!? と思ったら、わからないの主語は父らしい。「でもお母さんも一緒に医者の話聞いたんでしょ」というと、「私は待合で待ってた」と。

うーん、こないだ私と次兄がわざわざ神経内科に付き添ったのは何のためと思っているのでしょう。というか、私がついていけばよかったんですよね。たかだか眼科と思ったのが迂闊じゃった。とりあえず、もらってきた薬には「角膜の炎症、目の乾きを抑える」とある。

たぶん目はたいした病気ではないんでしょうが、問題は薬の効能を書いた紙ですよ。私がどういう薬か知りたいといっても「どこにもない」と。捨てたのと訊くと「捨てるわけがない」。でもゴミ箱をあさるとびりびりに破かれた効能書きが出てきました。

医者の言葉も聞かず、効能書きも捨てたのでは、いったい何のために点眼薬をさすのかわからないじゃないですか。それでは好くなったかどうかもわからない。

しかも、そもそも今日は神経内科の予約が入っていたらしく、完全に失念していたと。

自分のことなのにすべて母が悪いと言い募る父もどうかと思うけれども、母さえしっかりしてくれていたらとりあえず問題ないのに、最近はかなり判断力や記憶力が衰えているようで心配です。

父の目下の悩みは便秘。母は食べる量が少ないからだ、と言いますが、どうなんでしょう。下剤を飲んでいるようです。あまり薬には頼らないほうがいいと思いますが、昔から便秘とはまったく縁遠い生活だったので、ちょっと出ないだけで憂鬱きわまりないとか。まぁこれは健全ですね。

食はますます細くなり、酒の量が増えています。



欧陽菲菲「恋の追跡<ラブ・チェイス>」

欧陽菲菲を初めて聴いたのはもう20年ぐらい前でしょうか。

「雨の御堂筋」「ラヴ・イズ・オーヴァー」などが有名ですが、私が代表曲を選ぶなら断然「恋の追跡<ラブ・チェイス>」なんですね~。曲がノリノリなうえに歌詞もよく、歌い方がこれまたいい。

これを友人の結婚式の二次会で歌ってえらく盛り上がったことがまるで昨日のことのように思い出されます。




「恋の追跡<ラブ・チェイス>」
作詞:橋本淳 作曲:筒美京平

逃げるあなたを止めて
恋の終わりを止めて
何があなたを変えた
いまは捨てないで アアッ!

他の誰かに
よそ見しないで
恋は渡せないのよ

急ぐあなたを止めて
募る想いを止めて
私以外の人に
いまは生きないで アアッ!

恋のしずくを止めて
濡れたまつげを拭いて
誰があなたを変えた
ひざまずきたいわ アアッ!

望みどおりに
変えてほしいの
すべてあなたのものよ

つれないことはやめて
捨てたふりならやめて
憎めないのよ、いまは
すがりつきたいの アアッ!

他の誰かに
よそ見しないで
恋は渡せないのよ

急ぐあなたを止めて
募る想いを止めて
私以外の人に
いまは生きないで アアッ!


どうでしょう、この狂った歌。狂おしいほど愛してるという感じでしょうか。
何度も繰り返される「アアッ!」がいいんですよね。カラオケで歌うとここで異常にウケます。

一度試してみては?


エッセンシャル・ベスト 1200 欧陽菲菲
欧陽菲菲
ユニバーサル ミュージック
2018-03-21



『スキャナーズ』(顔と芝居に賭けたクローネンバーグ)

久しぶりにデビッド・クローネンバーグ監督による名作『スキャナーズ』を見たんですが、初めて気づくことが多くて実に楽しい映画体験でした。映画は情報量が多いから何度も見ないとわかりませんね。

「映画とはまず見せ、そのうえで語るものである」とはアレクサンダー・マッケンドリックの教えですが、この『スキャナーズ』は見事な見せ物映画になっています。

しかし、今回わかったのは「ほとんど何も起こらない見せ物映画」ということです。


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脚本
まず、クローネンバーグは脚本家としても一流だと前々から思っていますが、どうもこの『スキャナーズ』の脚本はそれほどよくないですね。
シンプルな善悪二元論によるメロドラマというのは力強いものがありますが、やはり、主人公の父親が開発した妊婦用睡眠薬の副作用のためにスキャナーが生まれた、実は悪玉スキャナーとは実の兄弟だったという情報をクライマックス直前で出すのは遅すぎると思いました。兄弟という情報はクライマックス直前のほうがいいと思いますが、なぜスキャナーが生まれたのかという背景は中盤くらいで説明したほうがよかったのではないかと思います。

ただ結末はすごいですよね。あれで行けると踏んだ作者たちは偉いと思います。笑っていいのかどうなのかいまだに戸惑ってしまいますが。


芝居
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この画像は冒頭10分ぐらいで悪役スキャナーに頭を爆発させられる場面ですが、スキャナーが自分の能力を使うときってよく見るとほとんど何も起こってないんですよね。念を送っているほうは目を大きく見開いて威嚇するような顔をするだけだし、被害を受けるほうはこのように苦悶したり鼻血を拭ったりするだけ。あとはハワード・ショアの効果音的な音楽があたかも「不吉なことが起こっている」という空気を作り上げる。

だから画面で起こっているのは念を送られた側の芝居だけということになります。

この無名の役者の芝居がやたらうまい。後半、主人公とジェニファー・オニールを捕まえに来た若い警官が念を送られてジェニファー・オニールが母親に見え、泣き崩れるシーンがあります。このときも警官役の芝居がうまい。昨年のベストテンを選ぶときの基準に「監督の演技指導力と役者の想像力の有無」と言いましたが、クローネンバーグも演技指導の達人だとは今回再見するまで気づきませんでした。

演技指導にもいろいろ計算があったようで、頭爆発のおっさんは鼻血を出しませんでしたが、あとはみんな鼻血を出しますよね。あれが映画を豊かにしてくれています。鼻血を拭うために下を向く、流れないように上を向く、など鼻血に対処するために必然的に顔を上下する必要があり、役者は芝居がしやすかったと思われます。



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上述の警官が泣き崩れる場面。彼の他に映っているのは、ただ黙って立っている主役スティーブン・ラックとジェニファー・オニールと母親役の女優の「顔」だけ。

役者からそれらしい芝居を引き出し、あとは特異な顔に賭ける。クローネンバーグはそう考えたのでしょう。



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ここまで来るともうディック・スミスの特殊メイキャップの力ですが、「顔」であることには違いありません。そして顔とはベラ・バラージュの言葉を借りれば「風景」であって「出来事」ではありません。やはりこの映画ではほとんど何も起こっていないのです。

何かが起こっているように見えるけれども、クライマックスは別にして実はほとんど何も起こっていない。
ほとんど何も起こっていないのに、世界が滅亡するかもという恐怖が生み出されていますが、その恐怖の源は実はセリフです。セリフで説明しているだけなんですが、やはり冒頭で頭爆発というすごい見せ物を見せられているうえに、鼻血を出す場面で特異な顔とうまい芝居が相俟ってちゃんと恐怖を感じられる。説明されている気がしない。

やはりクローネンバーグは脚本家としても一流だとの結論に至りました。こんな脚本をシナリオコンクールに応募しても絶対二次ぐらいで落ちると思いますが、商業映画としては上出来(しょせん大衆コンクールなんてその程度のものです)。頭で計算してるんじゃなくて「嗅覚」だと思いますが。

最近のクローネンバーグはつまらないというのが映画ファンのほぼ一致した見解ですが、クローネンバーグは「映画の嗅覚」を失ってしまったのでしょう。死ぬまでに取り戻してほしい!

そんなことも思った久しぶりの再見でした。




ギャラリー
  • 『スキャナーズ』(顔と芝居に賭けたクローネンバーグ)
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  • 『ストリート・オブ・ファイヤー』(ご都合主義の極み)
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